Bicycle Tail Light Clip Replacement (stl)
通勤超特急Bianchi LUPO D号には安い中華製テールライトを付けています。
このAAA*2で動く中華ライト、安価な割に視認性が高くけっこう気に入ってるのですが、取付用の樹脂製クリップが弱点で、特にがたがた跳ね回る&布等の軟質材を一切介さず車体に固定されてる通勤車では、衝撃を一手に引き受ける件のクリップが頻繁に折損します。
ずーっと同じライト付けて走ってると、ギャップを超えるときにライトが揺れる「かたかたっ」という音の変化で「そろそろ折れるな」と分かるようになる(^_^;)
このライトは安いので大量に在庫を持ち「クリップ折れたら交換」というのを繰り返してきたのですが、はっと気づくと「クリップがないテールライトの山」が出来ており、いまのワタシにはこうした部品を捏造する3Dプリンター Ender 3 S1 Proがある→部品を作りました。
ありものを探すと
Bike Light Clip Replacement (Thingiverse)
とか非常に良く似てる→そのまま使えるかと思ったのですが、手元の中華ライトとは嵌合する部分の形状や寸法が微妙に違う→自作。ライトに水かけなきゃ本体はめったに壊れない→このクリップさえ自作できればずいぶん長く使えるはず。
たぶん
Rear tail light clip (Planet Bike)
Compatible with Blinky 3,5,7, Grateful Red, Rojo, and Superflash tail lights
が欲しいものだと思うけど、未確認。英国の大手国際通販は先日揃って使えなくなっちゃったけど、米国からは未だ買えるんだろか? それすらワカランし、そもそも4$出せば安ライト丸ごと買えちゃう→あまり意味はない(^^;;
自分用の部品なので、ただ「マイナーな安ライト用の部品」というだけでなく
・0.2mmノズル
・ASAフィラメント
を前提としておりあまり汎用的とは言えないのですが、同じライトを使ってる人は同じ部品の折損に困ってる可能性が高い→作った部品を置いておきます。
Bicycle Tail Light Clip Replacement (stl)
・ライトにぎゅっと押し込むとがっちり止まる
・車体側のスリットにかちっと装着できてガタガタしない
を叶えるかなり微妙な寸法に追い込んでるので、たぶん0.4mmノズル+0.2mm積層ではうまく嵌合しません。0.2mmノズル+0.1mm積層前提。自転車用部品は過酷な環境に晒されるので材料も耐熱性や耐候性が高い材料を使う必要がある。
ワタシは↓こういう「先端部に段付き加工をしたノズル」を使ってます。単純な円錐形状のノズルよりこっちのほうが材料がこびりつきにくく焼き付きにくい。大体2ドル弱のノズルを年数回交換くらいのペースで消費。
ノズルを付け外しするときはネジ山に塗るサーマルグリスが必要。ただ「グリスを塗って締める」ではなく、「グリスを塗って締めたノズルを加熱してもう一度締める」が正しい手順らしい。
(そもそも内部に樹脂が入ってる状態では冷間時固まっててピクリとも動かない→ノズルの脱着にはヒーター加熱が絶対に必要)
この作業はヒーターブロックを固定して行う→熱いヒーターブロックを掴むため、専用のモンキーレンチを用意してます。これくらい小さく先が尖ったのじゃないとエクストルーダーの隙間に工具の先が入らない。
ノズルを締めるコンビネーションレンチも、柄が長くて精度高いのがあるとやりやすい。
SK11(エスケー11) ワイドモンキレンチ ショート 最大口径24mm SWM-24S [AA]
一度、エクストルーダーが無限加熱→ヒーターブロック部から煙が出てびっくりしましたが、調べたら「温度センサをヒーターブロックに固定するネジ」が緩んでグラグラになってました。きっちりネジを締め固定し直したら正常に戻った。
Ender 3 S1 Sprite 押出機ホットエンドヒーターブロック [AA]
エクストルーダーをバラしたときに確認したところ、内部のテフロンチューブは未だ全然綺麗でした。1年以上使ってる→一応予備のPTFEチューブと専用カッターは用意してたんだけど、出番がなかった。
PTFEテフロンチューブ+ PTFEテフロンチューブカッター [AA]
ヒーターブロックを保温するシリコンソックスも用意はしたんですが、大体250℃以上に上げて使ってる&コレ付けてると邪魔で掃除しにくい→外して運用してます。ジャケットがない分熱が逃げヒーター負荷が大きいはずですが、やむを得ない。
ライト側にはめ殺しの爪がある→印刷する向きに注意が必要。非常に小さな爪ですが、たぶんこの向きで印刷しないと変なサポートができちゃうはず。
接地面積が小さい→倒れやすいので、印刷時はラフトを組みZギャップを小さめにしとくほうが安定すると思います。ワタシの環境では大きめマスキングテープ+エンクロージャー加熱+冷却ファンちょいで安定して打てるようになりました。
3M マスキングテープ 243J Plus 60mm×18M 2巻パック [AA]
ABSを冷却ファン回してプリントすると積層面が弱くなって剥がれるけど、ASAならちょっと強めに回しても付くっぽい...とか調子に乗ると↓こういう「ぽっきり事故」が起こる→事前に条件を変えたテストピースを作って破壊試験をしとかないとヤバい。
温度低め+冷却ファンありのほうが形状や寸法が安定するけど、積層面が剥がれぽっきり折れてはどうにもならない→ASAで強度重視ならウォールを厚くするのと併せ冷却ファン切っとくほうが良いかも。
All In One 3D Printer test (Thingiverse)
高密度のサポートルーフを設定しておくとサポートを取り外すとき「ぱきっ」と綺麗に剥がれやすいけど、印刷温度を上げ冷却ファンを弱めるとサポートとの一体化が起こってくる→テストと割り切りがどうしても必要。
(冷却ファン速度はパーセンテージで指定するが、あまりに遅い=小さな割合を指定するとしきい値を超えずファンが始動しない=期待通りに冷却されないことがあるので注意。うちの環境では20%が実質的な下限みたい)
彫刻刀 アートナイフ デザインナイフ 切り絵彫刻刀 細工用カッター ナイフ [AA]
エンクロージャー加熱用のNTCヒーターは100Wしかなく冷却ブロアーも弱いので、加熱しても庫内温度が50℃を大きく超えることは稀。温度コントローラーを組み合わせ60℃までしか上がらないようにしてるけど、室温25℃↑でも実際に60℃を超え加熱が切れることはほとんど起らない。
最初はヒーターの枠組みもアルミ板をちょいと曲げただけの簡素なものだったのですが、寸法が決まってきた&NTCヒーターのすぐそばでも意外と熱くならないことがわかったので、ヒーターステーだけアルミとしあとは3Dプリンターで作った部品に交換。
ビルドプレート下のヒーターは300W→プレート下の空気をうまく攪拌できればエンクロージャー内を効率よく加熱できるんだけど、下手にビルドプレート下を弄るとプレートを支える4本のゴムが不均等に冷やされて縮み、肝心の造形面が平滑じゃなくなる→印刷に失敗する(した:^^;)のでそーっと吹くしかない。
大型ファンをごんごんブン回して攪拌すれば結果的に庫内環境が均一に近づくんだけど、造形面であるビルドプレート上にも余計な風を吹かせられない→こちらも違う向きにそーっと吹くしかなく、庫内温度は上下左右ですごく違ってる(^^;;
ちなみに最近は(わざわざ自作しなくても)「エンクロージャーヒーター」みたいな名前で3dプリンタ専用品を売ってるので、庫内にコレを置くor吊るという手もある。条件を詰める必要はあるけど、庫内環境を適切に設定出来ると確かに反り系の失敗は起こりにくい(反らないとは言ってない:^^;)
Chitu Systems アップグレード ミニヒーター [AA]
ただ、多分これを買って置くだけでは庫内環境の不均一でやっぱりトラブる→別途攪拌用の工夫は要ると思う。
ちなみにEnder 3 S1 Pro、プレートのレベリングノブをくるくる締めスペーサーを圧縮気味に調整すると、下がってきたプレートヒーターの裏側がY軸駆動用のステッピングモーターの頭と干渉します。最初はなにが擦れてるのかわからず、ヒーター裏に擦り傷を付けてしまった。
ということで、プレートのスペーサーを金属スプリング→緩みにくいゴム製コラムに交換する場合、18mm以下では締め込んだときのクリアランスが危うい→26mmを付けてます。これだけコラムに高さがあると、かなりくるくる締め込んでもプレートヒーターの干渉が起こらない。
というか、元々付いてるバネの長さが24mmあるのに16mmとか18mmのゴムがEnder 3用として売られてるのは良くわからない。プレート高調整用のダイヤルノブも、細かい調整がしやすい大径のものに替えました。
OKUMEYR アクセサリー 3dプリンター レベリングキット [AA]
まぁ、ぎゅうぎゅう締め込んでテンションを強くかけても、印刷が終わると結構4辺のネジがズレちゃってる→毎回測定し直して細かく調整します(^^;;
Klipper+BL-Touchであれば、画面指示のとおりにネジを回す、を繰り返せばそのうち4辺の高さが揃う。最初はダイヤルゲージでもっと細かく測ってましたが、とりあえず4辺の高さを揃える、さえやっとけば実用上の問題は出なさそう。
Neoteck デジタルダイヤルゲージ [AA]
テーブルを前後に動かすY軸のプーリーが一番ズレやすく、頻繁な確認が必要。前後2対のY軸プーリーのどちらにもガタが無いことが大前提。緩むとエッジ部分の定着が甘くなったりノズルと擦れ始める→要調整。
プーリーの当たりを偏芯ナット回して調整するのですが、左右にガタつかないのは当然、当たりが強いとすぐプーリーの樹脂が削れプラ埃になってしまう→ちょっとずつちょっとずつ回し「隙間がなく圧もかかってない」に調整しなければならない。
この部分は手が入りにくいので調整用に長めのコンビネーションスパナを用意してますが、いったん筐体からY軸レールを外し裏側からの調整が必要なことも、まま。
トネ(TONE) コンビネーションスパナ CS-10 二面幅10mm [AA]
調整に失敗し、圧をかけて運転しちゃうとすぐプーリーが削れて埃&傷だらけになる→予備プーリーを常に準備しとく必要がある。
「削れ」を早期発見するため、黒い筐体上で削れたプラ埃を見つけやすい透明樹脂のプーリーを買いました(^^;;
3D プリンター POM プーリー ホイール セット ゴム ベアリング付き [AA]
「Y軸プーリーを止めるM5*30のボルト」も、低頭で工具の掛かりが浅く舐めやすい→予備が必要な部品ですが、ここに低頭じゃないふつーのキャップボルトを使うと、Y軸移動時筐体に干渉して「ゴンっ」→びっくりするので注意が必要。
元々付いてるのは「超低頭」と呼ばれるアタマがまっ平らな(黒くて柔い)ボルトですが、実際にやってみたら、アタマがちょっと盛り上がってる「低頭」タイプのボルト(その分工具穴が深く舐めにくい)でも大丈夫でした。
こちらはクルマのスマートキーをズボンのベルトに装着するホルダー。軟質のTPUで出力し、ぐにゃっと変形してキーを収納するようになってます。
ベルトループの部分はPETG、熱でM3インサートナットを埋め込み、TPU製のホルダー部とボルトで結合してます。
例によってビルドプレートにマスキングテープを貼って造形してるんですが、TPUはとにかくぺろっと剥がれやすい→最初の1層だけ材料/ベース共に10℃高という激しい条件を指定するようになって剥がれ事故が減りました。
エンクロージャーは閉鎖するけど加温なし。開放したままだと反ることがあり、といってTPU印刷環境を下手に加温すると第1層の定着が緩んでやはり剥げちゃう。閉鎖だけで加温しないと庫内温度大体30~40度くらい。
材料を送らなくても、加熱しただけでだらーっと垂れ落ちてくる材料(TPUもそう)は、実際に印刷開始するまで綿棒でノズル口をふきふきしてあげると余計なところに材料がつく事故が起こりにくい。
軟質材料はラフトやサポートの分離が難しい→最初から「ラフトやサポートを必要としないような形状」を考えて設計しとかないとヤバい。剥がれないようゆっくりそーっと打てば成功率まぁまぁ。
ビルドプレートのコーティングを変えればなにか変わるかと幾つか試してみましたが大した差にはならず、後始末のことも考えると結局プレート上にマスキングテープを貼ってその上に造形するのであんまり意味がなかった(^_^;)
Ender 3 PEI+PEY マグネットビルドプレート235x235mm [AA]
使い捨てのマスキングテープにならいくら樹脂が食いついても構わない→第1層の条件を随分きつくできるようになった。とにかく第1層の流動性や接着性を上げて紙の繊維に食い込ませる。後のことはそれから(^^;;
第1層とマスキングテープががっちり食いつくようになると、今度はマスキングテープとビルドプレート間の接着強度が問題になる→無水エタノールでビルドプレートをしっかり脱脂し、なるべく接着面積が広くなるようマスキングテープを貼る。
余白部分が大きいほど接着面積=接着強度が上がり「マスキングテープがぺろっと剥がれる事故」が起こりにくくなる→可能な限り大きめのラフトを組み、マスキングテープをケチらず余白を大きく取り、スキージでごしごし圧着するのが勝利の鍵。
スキージ ヘラ P.A.-1 [AA]
材料を変える際は流路を綺麗にしておくのもトラブル防止になるみたい。特に融点が大きく違う樹脂への交換時は残材料の除去が難しい→一度クリーニングフィラメントを何十センチか流して流路を清掃してます。
NovaMaker 3Dプリンタークリーニングフィラメント 1.75mm ナチュラル、0.1kg [AA]
クリーニングフィラメントってPEらしーのですが、PEって一般的な材料と比べて融点が低く、弾性が高い→200℃超とかにして流すと「流路上の異物を巻き込んで押し流す」的な感じで綺麗になるらしい。
で、クールダウン→100℃を切った辺りで「えいっ」と引き抜くとコールドプルになって更に内部異物を取り除いてくれます。
一度ジュラコンも試してみたい(たぶん反る:^^;)んだけど、ジュラコン=POMは耐候性が低い→自転車や自動車用品をメインに作るワタシんトコではあまり適当な使い道を思いつけない。
Pxmalion POM ポリオキシメチレン 3Dプリンター用フィラメント [AA]
今年ずーっと「暫くの間休業」してたサイクルワークスしみずさん。久々に開いてるの見かけたら「閉店セール」のポスター貼ってて閉めちゃうみたいです。そっかー...(ガラス張りの店舗を撮ってる→なんや映り込んでますね:^^;)
↓3月に撮ったやつ。
↓6月。