オルクセン王国史 (1)
かつてなろうで楽しみに読んでた「オルクセン王国史」。書籍化されるという話は聞いてまして楽しみにしてたんですが、田舎では入手が難しく、「りゅうおうのおしごと」番外編を買いに行った大型書店でようやく買うことが出来ました。
ちなみに「りゅうおうのおしごと」は、(雷がとてもアレなことに目をつぶりつつ)ほぼシャルちゃん無双だった。金髪幼女おおあばれ(爆
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ネタバレ注意!!!!
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書籍版「オルクセン王国史」。オルクセン王国史って、一見それっぽく見えないんですが実は見事に「ボーイミーツガールからスタート」というラノベのテンプレ(笑)にハマっておりまして、1巻の表紙は(当然)この2人。
さらにいえばなろうテンプレ「異世界転生チーレム無双」にもしっかり適合しており、意外なほど如才ない構造をしている。
1巻はヒロインが登場し、王とデキるまで→銀英伝風に漢字4文字で副題をつけると「寵姫誕生」とかそんな感じ?(ぉ
「偉大な我が王」ですが、よく見ると実は「ブタのレバーは加熱しろ」のロリポさん(サノン氏とは言ってない:^^;)とあんま変わらないこと言ったりしたりしてる→中の人の立ち位置って意外と似ているのではないかとかなんとか...(^^;;
要するに、王の中の人も実はヲ(ry
まぁブタさん(ロリポ氏)のほうが圧倒的に若くて青いですがね。
グスタフ王よりディネルースのアタマの位置が高い→一瞬何事かと思ったのですが、王は着席してるんですな(^_^;) しかし、これで300kg? 人間だと身長220cm胴回り200cmでも300kgには達しない→オークってもっとでかいと思ってました。
「頭一つ背が高い」という描写から、ダークエルフとの身長差は30cm程度→組成というか密度が違うんかな? 結構大きなブタでも100kg台、競走馬で500kg、牛で700kgってとこだから「馬の前半分」くらいの想定なんだけど。
以前ツッコんだとき、大型生物(オーク)を撃つ銃がどんなになるか全然わからん→大型猟銃の数字をたたき台にしたんだけど、後に詳しいヒトから
「即死を前提とした『猟銃』と兵員の無力化を目的とする『軍用銃』を一緒くたにするとは何事か」
と随分おこられた(>_<;)
軍用銃は、被弾した目標がそれ以上通常行動を続けられなくすればいい→むしろ致命的な破壊を避ける方向→銃弾が届いて当たりさえすれば、必要以上に破壊する必要はないんだって。
でも、「オークは1発や2発当たっても死なん」と言ってる→速やかな無力化のためには結構な運動エネルギーが要りそうな気がするんだけど...。重弾頭が潰れないよう、厚い皮膚や肉をえぐり、なるべく深くまで貫通するような工夫がなされそうな気がするんだけど、そうでもないのか?
『猟銃』といえば、
で、主人公(猟師)の敵として軍ヲタが出てくるんですが、これが見事に「ワタシがやらかしそうなこと」を先回りして対策されてて、苦笑しました(^_^;) あー、確かにワタシならこーゆーことして主人公に負けるわ、と納得した。説得力がありすぎる(^^;;
書籍版オルクセン。ワタシがもっとも気にしてたこと、すなわち「精密なGew74の絵」は入ってませんでした(^_^;)
正直↑こーゆーの欲しかった(^^;;
ちなみに(わざわざメロンブックスで店舗取寄せしてもらった:^^;)野上氏の同人誌でもそうした絵はありませんでした。この辺はコミカライズ版に期待か。
しかし...開戦前のあれこれはともかく、漫画版が実際に戦争が始まるとこまで続いてしまうとどえらい規模の絵を描かされることになるのでは?(漫画版「皇国の守護者」で描かれなかったアレクサンドロス作戦から目をそらしつつ)
まぁ仮称ダークエルフ旅団改めアンファウグリア旅団でも同じGew74(の騎兵版)を支給されて使ってたりしますんで、ワタシが考えているほど種族間のサイズ差って大きくないのかもしれない。
体重60kgと300kgの比率って、30kgの小学生と150kgの相撲取りのサイズ感の差→ウイグル獄長はともかく、リンとハート様(!)みたいな絵面になりそうな気がするんだけど、実際はどうなのか、正直よくわからない。
長身の外人さんが日本家屋に入って頭ぶつけまくるよりも酷く、「巨漢(ヒトじゃないが)の国」オルクセンでは、
・幼児が自動ドアの前に立ってもドアが開かない
・アンドレ・ザ・ジャイアントは電話かけられない(ダイヤルの穴に指が入らない)
みたいなことが沢山起こってると思うんだけどなぁ...。
銃弾のサイズは「大体11x60mmRモーゼル弾とおなじ」と決まっており、閉鎖形式や撃針の叩き方で多少変わるけどボルトの径も長さも(弾頭の変更=ボルトストローク延長により多少長くなるかもしれないけど)ほぼ決まってしまう→機関部はモーゼルM1871とだいたい同じ感じに仕上がるはずなんだけど、操作系だけは操作者による。
Gewehr 71 [YouTube]
装填動作に必要なボルトハンドルはともかく、その周辺に配置されてるであろう安全装置のつまみとか、レイアウトとかサイズ感とか結構問題になりそうな気がする。「かちっ」と動作させるためのロック強度(操作力)とかもヤバそう。
ちなみに「尖頭弾」と明記されているGew74は、尖った弾頭が前のタマの敏感なお尻のまんなか(笑)を突っついてしまう→Gewehr71/84で行われた↓この改良が難しい。Gew88みたいな箱型弾倉化するしかないとおもう。
Gewehr 71-84 [YouTube]
Gew 88/05 Loading the rifle. [YouTube]
まぁ戦役終了後はもはや武装改良の緊急性が薄いので、無煙火薬化までGew74のままいくというのも十分ありそうな話ではある。
たぶん本編開始時のオルクセンで、英国のウイットワースねじに相当する標準化はすでに行われている。オルクセンの単位系はMKSなので、(日本人にとってはJISで見慣れた)後のISO規格を先取りしていても別段驚くには値しない。
精密ネジが作れるようになればマイクロメーターが作れ、マイクロメーターがあれば更に精密な部品を作れるようになる→職工にもメリットが出てくるんだけど、マイスター気質が強そうなドワーフと標準化の相性はどうなんだろう?
テイラー管理法も...どうだろう? 多民族国家であるオルクセンで、ドワーフ自身(と「我が王」)以外の種族からこの種の管理提案が出てしまうと深刻な衝突が発生しそうなんだけど(^_^;) それとも、民族的な嗜好よりも全体主義的なオルクセンの気質が優先し、人間に先駆けて受け入れる方向になるんだろか...?
どうやらエルフの国もMKS単位系っぽい→この起源はなかなか興味深い。英国由来だとヤード・ポンド法になっててもおかしくないんだけど、世界の成り立ちと亜人の関係(←大オチに関連するのでぼかした言い方)を考えると、これらの種族には「外」から単位系が持ち込まれた可能性がある。
本編はなろうで楽しく読んでたアレで...とか言ってたら、結構違ーう!(^^;;
もちろん大筋は同じで、むやみやたらと情報が詰め込まれてるのも変わらない...というか、さらにひどくなってる(^^;;
「え? なろうで三兵戦術の話なんかあった...??」
↓なろう版。
近代軍制における諸兵科連合戦術というものには、それもまた不都合である。
諸兵科連合戦術は、歩兵には騎兵の機動力をぶつけ、騎兵には砲兵の火力で叩くといった具合の、敵にしてみれば相手にしたくない兵科を縦横に使って勝つ戦術だ。
やはりありません(^_^;)
なろうでは(星欧で常識化してるであろう)三兵戦術の話をすっ飛ばし、いきなり諸兵科連合の話になってるのでワタシがツッコむとき独自に三兵戦術の話をひとくさり入れたハズなのですが、書籍版では諸兵科連合戦術→三兵戦術に改められ
「オルクセン陸軍は三兵戦術がしたい」
(↑「中二病でも恋がしたい」みたいで字面がちょっとおもしろい:^^;)
→それが可能なダークエルフの皆にはでかい秋山支隊みたいな編成をしてもらう→それが結果的に諸兵科連合になっちゃってる、みたいな感じの記述に変わっている。
おかげでこちらはなろうを見るタブレットと本を横に並べ、まるでまちがいさがしみたいな真似をする羽目に(^_^;)
なんかなろう版、知らん間にすげぇ挿絵(加工写真?)増えてるんですがこれは...。
「オーク族の演習ではまず飯を喰う」
くだりも、微妙に違う。
連隊の補給段列に大型のものが二両、大隊の補給隊に小型のものが二両配されている野戦炊事馬車が寄り集まり、前線から五〇〇メートルほど後方にあって、火を焚き始める。炊事の煙が上がって目立たぬよう、小規模な林の枝葉の下に展開し、これを隠蔽する微に入り細に入った配慮もなされている。
書籍では「野戦炊事馬車」が「野戦炊事車」に改められ、ご丁寧に「フィールドキッチン」というルビを振った上でGulaschkanone (シチュー砲) というあだ名で呼ばれたみたいなエピソードまでついてる。
ちうことで、なろう版ではよくわからなかったけど、書籍版の炊事車を作ったのは多分やかん屋のフィスラー(仮名)さん...というネタをはさもうかと思ったんだけど、星暦70年台は正直ちょっと早いので、似たようなものを違う牡が作ってるかもしれない。
どこの国の炊事車も「大砲に見えるような煙突」を持つ→誰が作ってもそーゆー感じになりそうではある。
ふむ。やかん工房自体は40年代からすでにあるのね。で、軍からの大きなニーズと示唆があるなら登場時期が早まる程度はアリかもしらん。他のひとが先にフィールドキッチン作って市場を奪うと、のちの鍋メーカーが1つ減るかもしらんし。
オーク歩兵がなんぼでも撃つ→一体何発携行してるんやと調べる資料も「歩兵操典の付属書」→「歩兵装備目録」に変わってた。正直web版のほうが「それっぽい」と感じる(なぜ目録と言いかえるのかわからない)んだけど、その理由は
「ワタシが『操典』という言葉に馴染みがあるから」
らしい(^_^;) 操典って軍事用語なんだって。知らなかった(^^;;
旧日本陸軍各兵種の、教練および戦闘に関する制式・法則を規定した典拠書。「歩兵操典」「騎兵操典」など。
おまけ短編(マークスマンのはなし)のタイトルは「狼は眠らない」。なんかどっかで聞いたことあるような、無いような...(^_^;)
見目麗しいダークエルフの選抜射手→自分で描くなら、切実に照準眼鏡がほしい。メーカー名がカールツァイスをもじったやつだととてもうれしい(^^;;
小銃(ライフル)本体は、分隊内で弾薬を共用できる方が補給的に好ましい→精度の高い小銃を選抜して使用するだろうから差がつけられない。やはり照準器が欲しい。
ネジのとこで名前が出たウイットワースさんは狙撃銃の偉い人でもあるのですが、これが結構立派な照準眼鏡を付けています。パーカッションの前装銃なんだけど、1マイル(1600m!)で当てたとかいうすごい証言が残ってる。
弾頭480グレイン(31g)って言うから12.7x99mm弾頭の2/3くらい→そら大したエネルギーと存速で飛ぶよなぁ。Gew74による対空射撃のときにも計算したけど、この手の重弾頭って適正な銃身を用いて真っすぐ飛ばせさえすればエライことになる。
ワタシが勝手に妄想していた「オルクセンにおける航空機の発達」の一端が描かれた番外編。
「オルクセン初の全金属製単葉機」
と銘打って作られたのは、速力と運動性を言い訳に軽薄短小で済ませられる戦闘機ではなく、よりにもよって機体強度が必要な(=重量がかさむ)急降下爆撃機だった...という話が(岡部氏のパロディで:^^;)語られます。
「丈夫な主翼と固定脚を持つ単発爆撃機(カウル云々の記述からおそらく空冷星型発動機を備える)」
は、空力的設計がまずくて云々。大柄なオーク族をも想定して作られたため乗員まわりに余裕寸法がありすぎ、三菱J2M(雷電)みたいな評価を受けてしまっている。
「小柄な奴なら真横にも並んで座れる」
「も」ということは、機体は本来直列復座で、やろうと思えば並列復座が可能なくらい胴体がでかい、という話なのか? 後方銃手か爆撃手か偵察員かしらんけど、操縦手以外の乗員がいる...ような気がする。
...オークだけだと「空中一人ぼっち」になってしまう心配があるから、通信手段としてエルフ系/コボルド同乗(どちらも遠隔意思疎通可能)ってことかもしらん。この場合の役職は「通信手兼なんとか」?
こう考えると、航空黎明段階で全機無線連絡可能のオルクセン機って、結構強いのかもしらん。特に主要な「領空に迷い込んできた不明機を皆で邀撃する」みたいな用途だと、視界外からすら誘導可能→無線系種族を載せた単座戦闘機はあまりあなどれない。
ま、互いを視程に捉え単機同士で殴り合うようなことになれば空力とかエンジンの差でふつーに負けそうだし、人間側も遅かれ早かれ同じようなことが出来るようになるんですがね(電波無線は魔族にも傍受可能だが魔力通信は人間に傍受不可くらいの差はある)
この爆撃機、翼配置が書かれてないと思うんですが、なに翼なんですかね?
複葉→単葉化するにあたってどっちの翼を省略するかというと大体下翼が対象になる→初期の単葉機はパラソル翼が多いんですが、パラソル翼では急降下に必要な強度を確保することが難しく、すぐに淘汰されてしまいます。
あと、爆弾倉をどうするかという問題もある。
この爆撃機は爆弾搭載量も搭載形式(爆弾倉の有無)もわかってませんが、
「丈夫な主翼と固定脚、プロペラ圏外に爆弾を放り出す懸架装置を持つ」
ことはわかっている→爆装まわりでごちゃごちゃするであろう胴体下部を避け、余裕のある翼下に固定脚をつけたくなる→「脚にスパッツ云々」という話もあり、低翼単葉の、Ju87とか99艦爆っぽいシルエットになりそう。
これらの機体は降爆の代名詞であり、これらと同じ基本形状なら基本的にうまくいきそうな感じなんですが...まぁ同じ形式で「やらかした」機体も多いか。構造材が弱く厚い翼しか作れないとやらかしやすい形式でもある。片持ち梁は割と難易度が高い。
空力設計にこりすぎて失敗してるという話なんで、もっとアバンギャルドなレイアウトにしてるのかもしれません(^_^;) 少なくとも「機体前半にエアブレーキ装着」はヤバイ。失敗が約束されすぎてる(^^;;
で、機体から気流が剥がれる失敗を繰り返した結果前縁スラットの理解が進んだとかヴォルテックスジェネレータ作れちゃったとかのエピソードが出てくると面白い(^_^;)
航空機の速度が遅い間、乱流翼の理解が深いことはそう悪くない話だと思うんですよ。大戦に参戦していないオルクセンでは航空機の速度向上がゆるやか、かつ民需主体で発達してくと思われるし。
しかしコボルドとオークが同一の機材を使うとなると、本当にめんどくさいことが続出しそうではある。
本編では操縦席の幅にしか言及してないけど、前面パネル-座席間の距離だったりペダル位置や高さをすごい範囲のフルアジャストにしないと対応できない→これらの余裕を見込まなければならないオルクセンの航空機は小型化出来ないし、高性能化も難しい。
機体規模にもよるけど、座席位置や乗員数によっては重心調整が要るかもしらん。数トン規模の、たとえば東海みたいな機体の搭乗員が30kgなのか300kgなのかという問題は、かなり深刻なものになりそうな気がする。
機体先端に3名800kgとか載せたらつんのめりそう(^_^;) 重い航空魚雷を機首につけてるのも同然と考えると、もはやどうしようもない→オルクセンの攻撃機って、最初から切り離せない余分な魚雷を載せてるのと同じなんですね。なんという酷いハンデだ...(^^;;
操縦竿とかスロットルレバーみたいな操作系も種族ごとに付け替える必要がありそう。機関銃の発射ボタンとフラップレバー程度で済んでればまだなんとかなるけど、HOTASみたいにずらりとスイッチが並び始めると、もうどうにもならない。
以前「オルクセンの戦車はめんどくさいことになる」(特に主砲と装甲板の隙間に乗員を押し込まねばならない戦闘室はヤバイ)みたいな話をしましたが、航空機も十分めんどくさい。NHKの密着番組で「めんどくさい」ばかり繰り返してた宮崎駿みたいになる(ぉ
プロフェッショナル 仕事の流儀「ジブリと宮﨑駿の2399日」
今朝の自転車通勤サイコン。手がちめたい...(^_^;)