【オッドタクシー】インド映画始まった【ネタバレ】
アニメ「オッドタクシー」を完走しました。ヒトに勧められて観たんですが、これは確かに面白い。快作です(^_^)
↓特徴的な背景のにじみがわかりますでしょか? これ、結構重要なネタなんだけど、慣れないと気持ち悪いかも(^_^;)
大ネタである認知系の全体トリックは一応わかるように提示されてる(カメ止めみたいな一発ネタではある)けど、細かい所の整合性、例えば
「なんでここにこのキャラが居るのか」
みたいな部分は割とガバガバで、観てるこちらのリアリティライン設定は、正直かなり難しいです。楽しむのに、コツがいる。
基本的にスリラー調のクライム・サスペンスであり、あちこちに伏線やら小ネタやらが散りばめられてて呑気に観ることは出来ないんだけど、目をつり上げて本気でツッコむ対象としてはどこか牧歌的で、些かならず整合性が足りない、という感じ(^_^;)
だから、(いつもの:^^;)重箱の隅をつつくような見方をしてると、「楽しめずあら捜しばかりしてた」ように思われそう(^_^;) そもそも、面白くなきゃ観ないのですが。伏線とかボールペンとかのチェックで、3周はしたと思う。細かいのを入れると、もう少し多い。
色々と確認したいことがあったので、「東京ゴッドファーザーズ」とかまで見直してしまった。
オッドタクシーの世間は異常に狭過ぎ、偶然と言うには各キャラの関係性が緊密に繋がりすぎてるのが最初に混乱します。ラノベ的だといえばそこまでだけど、呼んだタクシーが偶々以前にも乗ったタクシーで、偶々その近くに追跡者が居て協力を呼びかけられる...って、普通に計算してどんな確率なの?!(^^;;
もしかしてその辺を走ってるタクシー、小戸川交通とあと2台くらい?(^^;;
あと「サウナで隣り合ったヒトが偶々同じ人物について話してて、電話で話してるヒトと偶然会話が成立してしまう」確率とか、フェルミ推定でどういう数値を外挿するのが適当なのかとか考えると思わず笑ってしまう(笑)
まぁそれも、宝くじで10億円当たる確率に比べればいまだましなのか、それとも「宝くじが当たるようなお話なんだから、他の細かい偶然の確率なんて気にするだけ無駄」ってことなのか。確か宝くじの当選期待値って、ppmよりもいくらか桁が小さいとかのレベルだったハズなんだけど...。
「どうせ辿れない」と考えてたにしても、詐欺に使うアカウントを10年以上使いまわし、めっちゃ目立つランキングにも使うとか、こちらがリアリティラインを上手く設定できないと「どうしてそうなる」みたいなことを口走りそうになる。
オッドタクシー登場キャラクター達の多くは劣悪な家庭環境で育っています。彼や彼女がやらかしてしまうのは、大体家庭というか育成環境からの影響。逆にそうでないキャラは、これもしかして聖人なのかというレベルまで達観している。
加えて犠牲者の死因が
「良好な環境で生まれ育ち、さらに人一倍努力して魅力を身に着けたから」
ともなると、さすがに「...もしかしなくてもわざとやってる?」的な感想を抱かないわけには行かないというか、なんか作劇的な意図があるのではないかと勘ぐってしまう。犯罪者になるようなやつは皆●●、みたいな偏見を持ってるんじゃなかろうか、とか。
というか、コレ作ったヒトって今敏好きなんかな...?(^^;;
普通に考えて、この話の"逆"MVPは山本(ワタシ心の底から彼がサーバルキャットだと思ってました。本当は狐らしい:^^;)です。彼がミステリーキッス可愛さに事件を隠蔽しようと妙な考えさえ起こさなかったら、少なくともミステリーキッス側はこんなややこしい事になっていない。彼は初手で判断を誤り、更に頼る相手を間違えた。
樺沢や田中の視野の狭さやそこから始まる判断行動も十分にアレで、この辺(だけじゃないけど)が戯画的にすぎることが本作のリアリティライン設定を難しくしています。「ストーリー的な要請」としかいえないことが、あまりにも普遍的に転がってる。ラノベなのか夜ドラなのか、マジなのかギャグなのかとリアクションに困るような部分が、ゴロゴロある。
まぁそもそもどんちゃんの娘が行方不明にならない、例えば初手で死んでいるとわかっていれば通常の殺人事件として捜査され、どんちゃんの同級生黒田が自らの手勢(=裏社会の住人)を投じて娘の行方を探そうと言う話にはならず、複数の捜索者がタクシー運転手に注目する状況が発生しない→事件そのものが起こらなくなるので、この辺をツッコむのは意味がない。
わざわざ手間暇を掛けて死体を損壊したのは身元を辿れないようにすることが主目的だったハズなのに、あっさり身元が割れてるのは草。まぁ今時は解析技術が進んでて、物理的な破壊だけで「誰かわからなくする」難易度がかなり高いのも間違いない。年齢性別が近い行方不明者がいればDNA解析等も行われるだろうし、ごまかせない。
田中が小戸川の居所を掴んでるのはタクシーにGPSを仕込まれてるからという説明なんだけど、他キャラも普通に小戸川の居所掴んで救出したり客として乗り込んだりしてて、割とガバガバ。その東京って、実はめちゃめちゃ狭いのでは?
ラストバトルでヤノが追いついてくるのは痛めつけられた大門兄が場所を喋ったという説明がつかないでもないけど、足元に転がってるドブ(血まみれ:^^;)を完全無視して小戸川のほうを追いかけてくるとなると...それってちょっとどうなん、という話になる。
ちなみに「電池のいらないGPS」ではなく、「余計な機能がない専用機なので電池が長持ちするGPS(トラッカー)」が正しい表現。GPSトラッカーの電池をいらなくするには、ダッシュボードとかボンネットの中に電源配線をして設置工事する必要があるはず。
これから自ら襲撃に行こうというのにビール瓶1本しか持ってこないドブはいくらなんでも自分の腕っぷしに自信を持ちすぎだし、その妨害を企図する小戸川の計画も、大門弟はともかく単なる学生の樺沢を呼んで、それが一体なんの役に立つと思ったのか...。
最後の最後に田中を呼んだのもそうで、現場に田中が来れば確かに混乱はするだろうけど、この時点で田中が狙ってるのは小戸川本人であり、残弾数も怪しい→一体どういうやり取りをして、この時点では健在であろうドブをなんとかし、状況を打開する心づもりだったのか、さっぱりワカラン。騒ぎにして警察を呼んでもらう程度の計画だったのか...?
ドブが樺沢を捕まえたとき、大腿部に穴が空いているにも関わらずよっこいしょと座って「話聞いてやるよ」と言い出したのはふつーに感動しました。彼はただ粗暴な舎弟ではなく、人を味方につけるやり方を知っている親分なのだと良く分かる描写だった。白川さんが妙にドブに対して同情的なのも、こういう側面を見てきたからなんでしょう。
白川さん無双は...路上戦闘において水面蹴り使いが大変厄介なことに疑問の余地はなく、相手の技量も出方もわからないまま、女だと油断して背後に小戸川を置いたまま白川さんとの戦闘を決断し突撃した山本は、その時点で詰んでいる。
↓確かに狐ですな(^_^;)
強いローのロー(最下段。足首あたり)を「足払いではなく」蹴れるやつはそれだけでも十分にたちが悪いし、高速で出どころのわからない蹴りを繰り出せれば、初見で対応できるやつはそう居ない。飛び道具や刃物を持ってないとわかればどこでも蹴れる。フットワークすら知らない素人など転がし放題(^_^;)
しかし、(ネタとしてはとても面白いけど:^^;)コートを着たまま真冬の海に潜ってふんばりの効かない水中で蹴るのは、あまりにも物理の法則に反しているのでは...(^_^;)
作中に黒田関連のキャラが異常に多いのは偶然ではなく、「孤児に手を差し伸べる」黒田の行為が100%の善意ではないことを示してます。他に頼るものの無い孤児を厚い恩義でがんじがらめに縛り、自らの近くで監視付き育成してるとなれば、黒田が自らの手駒を育てる手段として育英会を使ってることに疑いの余地は殆どない。
ヤノは実際にそうだと歌ってるし、大門兄弟もそうで、ドブもそうかも。小戸川にそうした声がかからなかったのは、彼が荒事に向かない(裏社会では使えない)人種と判断されたのか、他に生業を得たからか。
海に落ちた小戸川は、どれくらい入院してたんですかね。
エンジンを掛けたまま海に沈んだ小戸川交通のクルマが全損したことは確定なのですが、年明け早々にそれなりの距離を自力で移動できる足を持ち、その後のシーンでは普通に商売してお客を乗せてる→資金はあったにしても、同じタクシー特装車ってそう簡単に入手できるようなものなのか、気になる。
しかし和田垣が最後まで野放しなのは、単に作中捜査機関が無能という描写なのか、それとも「とりあえず泳がせておいて、しっぽを出すのを待つ」という話なのか。
オーディオドラマを聞かないとわかりませんが、和田垣が母親に電話で説明(そう!この母親は殺人を容認してるどころか、かなり積極的に「殺して奪い取れ」と誘導してます。どんなサイコパス家なの和田垣家:^^;)してる「うまく行った年末のこと」は「タエ子ママの殺害」であるはずで、この事件を完全犯罪に出来るような技術や伝手を、一介の女子高生である和田垣が持ってるとは考えにくい。
もう1人始末されている可能性が高いのは長嶋(このキャラ、中の人が仮面ライダー鎧武のミッチー/呉島光実でした)だけど、和田垣は長嶋の住所も知らず(顔はYouTubeの動画↑で見た可能性がある。どんな顔してたのかなぁ長嶋)、関口のように高度な解析技術を持っているような気もしない。まぁ和田垣は長嶋に対し「放送」しながら襲撃することが出来るので、やりようがまったくないわけでもない。
まぁどういう状況でも奇襲にはならず、長嶋が逃亡とか通報するほうが早そうだが(^_^;)
練馬女子高生失踪事件が長引いたのは、死体がしばらく見つからなかった→「事件に巻き込まれた可能性」という方向性だったからのはずで、年末年始に起こった殺人で、わざわざ死体を処理してくれるような奇特なやつは居ない→最初から殺人事件として捜査して、未だ和田垣を完全放置してるということなら、(大門弟の銃弾をどう処理したのかも含め)作中の捜査機関は「無能」以外の言葉では表現できない。「刑事が居ない世界」かもしれない(^_^;)
要素的に、馬場とママの間に座ってるひょろメガネが長嶋かな...? あまり神経質キリンっぽくは見えないけど、他に該当するキャラも居ない。この絵は小戸川の快気祝いの席であり、このとき長嶋が「やまびこ」に幸せのボールペンを置いて行ったことが、↑の襲撃(めんどくさい)を呼び寄せてしまうことになる...。
そして手段を問わず世に出さえすれば、必ずアイドルとして成功できると無邪気に信じてる和田垣怖すぎ。正直第3者の評価で、和田垣を他の3人よりも高く評価してるように見えるものは皆無なんですけど...。
この差が単純に練習期間の差なのか、三矢ユキとの根本的な才覚の差なのかはわからないけど、ドラマ期間中の和田垣を三矢以上と考えているやつは1人も居ないし、二階堂は「三矢さえいれば」とずっと考えてた。
誰かの代わりにステージに立つことは自動的に「元の誰かよりも評価が高くなる」ってことでは全然ないし、ホモサピエンスのように「事件と近いから」という理由で降ろされたり干されるリスクの方が絶対高いと思う。
「自分より上のやつを排除すればその分自分の順位が上がる」
「見てもらえさえすれば誰でも自分の魅力を解ってくれる」
という彼女の認識は、呑気というより妄想でたわごとだ。
和田垣周りの事象は他にも増してファンタジー度が高く、リアリティラインの設定にとても苦労します(^_^;)
もちろんワタシも、「静かなる連続殺人鬼」というキャラが非常にオイシイことは否定しません。ただオッドタクシーでそれを受け入れるためには、目を瞑らなきゃいけないことがちょっと多すぎる。世界そのものが違うのだと考えないと受け入れられないくらい、致命的に「色々なことに関する説明」が抜けている。
なんで剛力医院に来てるのかわからないのですが、色等からみて、やはりこの娘が市村なんでしょかね?
殺人や死体遺棄事件に絡んでないとはいえ、市村もそれなりにヤバいことしてるのでは、娑婆で笑ってられる立場なの?...とか思ったけど、余罪が増える(そしてボスに迷惑をかけない)ヤノたちが口を割らず、柿花らからの被害届が出なければ拘束されるような立場ではないのかな...?
できれば彼女には、少しおじさんたちと遊んであげてほしい(^_^;) "お金がほしい"市村にとってもそれなりの収入になりデメリットばかりということにはならないと思うのですが、まぁアイドルになれるようなハイエンド女子高生が、金持ってない親世代でハゲのおじさんと遊ぶ...って、ふつーに嫌か(^^;;
柿花が欲しいのは彼女ではなく結婚相手→カネがない(そして借金も返さにゃならん)にも関わらずしつこく結婚を迫ってストーカー化しそうだし、市村は「大金持ち」以外には興味がない→どう考えても噛み合わない両者は、やはりもう顔を合わせないほうがいいのかもしれない。
今井が(二階堂ではなく)市村のファンだったら、この部分だけは非常に綺麗に収まったんだけどなぁ(^_^;)
まぁ二階堂本人は今井を「お客」というかぶっちゃけ「太い金づる」くらいにしか考えてないし、お金に困らなくなった今井が"推し"二階堂と個人的に繋がれるルートも、たぶん存在しない。