【ゴジラSP】大反省会場【ネタバレ】
完全新作TVアニメシリーズ「ゴジラ シンギュラポイント Godzilla Singular Point」公式サイト
「こういう時、どんな顔をすればいいかわからないの」
「笑えばいいと思うよ」
いや、笑うのは確定(^^;なんだけど、ヲタらしく唇の端を歪めて
「またやられた」
と冷笑すべきなのか、指差して狂ったように哄笑すべきなのかがワカランという話なのよねこの場合。今はとりあえずは無表情で「...はぁ、そうなのか」とか言ってる感じ。
ジェットジャガーを追いかけてたどり着いた場所は、思ってたのとちょっと違う場所でした。
ゴジラ・アクアティリス ←前記事
「騙されたみたいに言うな。オマエはジェットジャガーが『そういうモノ』だと、始まる前から良く知ってただろ!」
まぁ...そうではあるんだよね(^_^;) ゴジラ対メガロを見てないとは言わない。でも、動作プログラムを書き換えたら巨大化って...。いや、確かにジェットジャガーは『そういうモノ』でした、最初から。
「地球の危ないその時は、悪者どもに猛烈パンチ
ゴジラとジャガーでパンチパンチパンチ」
↑シートピア海底王国は大昔海底に沈んだ大陸の末裔→地球の住人で、先に国土を核実験で破壊されたからM宇宙ハンター星雲人を仲間に引き込んで報復を試みただけなんだけど、外患誘致なのでやはり「地球の危機」に相当するらしい(^_^;)
「ノンマルトは人間より強くないんだ!攻撃をやめて!」
「この問いの答えにたどり着いた者を我らの子孫と認定する」
紅塵=アーキタイプが「計算で変質する」ものであることは示されており、このときのためにひたすら計算し続けたAIが居る→紅塵のなかで質量が増大するのは「紅塵を書き換えて取り込んでる」描写で、(メガロのときのように)質量保存の法則には矛盾しない。
ジェットジャガー(ユング)は紅塵の中で変態し巨大化したゴジラシリーズを知っており、自強化に同一手法を用いることにしたらしい。
SPのネタって「物理法則を曲げる超分子ナノマシン」とかなんでしょうか?
いやー全然違ってましたね(^_^;) その時目の前に並べられたことにだけ飛びついて思考しちゃって、ストーリーの基点が「ゴジラの骨」だったことをすっかり失念してた。確かにゴジラSPは「ミサキオクの地下に眠る謎の骨」からのスタートだったし、1話アバン、複数で「回想」「会話」してた事実を完全に無視してた。
この導入部が、はっきり「ここ、後にリフレインします。良く覚えといてね」と宣言しているのは解ってたんだけどなー。
予言みたいな情報がストーリー開始前の時系列でずらずら並んでるんだから、時間軸に干渉できそうな話が出始めたときに「なぜ因果律が逆転するようなことが起こっているのか」について、もう少し掘り下げて考えても良かった。分子の話だからナノマシン等と脊髄反射で短絡したのは良くなかった。
「大規模な時間逆行現象を想定しているようです」
という台詞はしっかりあったのにねぇ(^_^;)
ゴジラの骨は(他の怪獣と同じく)特異点で、特異点はシヴァと繋がってる→シヴァの中からのメッセージを外部に届けられる、そして時系列的にもっとも早期から世界に存在していた「穴」で、かつメッセージの送信者=ペロ2は「この骨から出る信号が早期に発見され、監視や研究の対象となること」を、既定の事実として"知って"いる(^_^;)
ペロ2からの連絡にあった最後の時刻情報が、実際にジェットジャガーPP覚醒→オーソゴナル・ダイアゴナライザーを起動させた時刻と微妙に違ってるのは、この時刻が「シヴァ上で走ってたペロ2が、シヴァの崩壊により外部との連絡手段を喪失した」時刻=以後のことは、過去へと遡行するペロ2から観測できないのでわかりません、という事で良いのかな?
シヴァに潜ったペロ2は「失神→分裂」しつつ時間軸上を移動しており、"時間軸がアレなシヴァ内で分裂し競合して統合された「自分」に、時間軸が未来のやつが居る"かと思ってたけど、最後の時間だけ微妙に合ってないのは何故なのか、良くわからない。他は神野銘と有川ユン(打鍵速度から見てチャットはAIが代筆しているのでAIの、かもしれない)の会話時刻なのに、最後だけ違う理由。なんじゃろ...?
ジェットジャガーPPの覚醒は、その1分ほど後でした。そして(時間は微妙にズレたけど)オーソゴナル・ダイアゴナライザーを炸裂させるGPS座標は、ちゃんと子守唄の中に埋め込まれててジェットジャガー本人が思い出してた。つまり、最終決戦についてだけは計画というか「予測」で、「記録」ではない...?
あらためて見直すと、この時刻=ゼロアワーは
「ペロ2が神野銘に『破局を回避するコードは存在しない』と報告」
した時刻に一致してるような気がする。東京ではなく、インド側のイベントだった...?
終わってから振り返ると結局「超分子」は「物理法則を飛び越えるための手段」でしかなかったし、怪獣は生物だから分子生物学関連の機能性分子、等と決めつけたのは致命的な失敗だった。従来「ブラックホールと角運動量の組み合わせ」等の仕掛けで生成されることが多かった「特異点」が、「高次元に折りたたまれた分子構造」とかであっさり説明されるとは正直思わなかったんだよー(^_^;)
物理法則が成り立たなくなる=「リンゴが落ちなくなる」と言ってることは理解してたんだし、渦中の葦原氏の消息について「なんかおかしい」ことは繰り返されてる→事象の因果というか原因と結果について、もう少し真面目に考えてみても良かった(怪獣映画は推理モノじゃないけど:^^;)
「葦原の時代から観測されてる正体不明の信号だ」
結局、葦原氏は
「時間をさかのぼって流されたペロ2からのメッセージ↑の一部にたまたま気づき、その内容を深く研究したヒト」
だった、という理解でいいのかな?
「私はずっと子守歌のひだの中に折り込まれていました」
「子守歌の送信者は私」
「あなたの作ったプロトコルを元に破局に対抗できるようになるまで」
「何度も、何度も」
つまり、↑これを語ってるペロ2の主観時系列だと
- 神野銘から託された葦原の(爆発した)計算結果はヌル
- 有川ユンから預かったジェットジャガー強化プロトコルを検討
- ジェットジャガー強化の方法としてアーキタイプの利用を発案
- アーキタイプを使用するジェットジャガー強化(巨大化)手法を確立
- アーキタイプを完全分解するオーソゴナル・ダイアゴナライザーのコードを発見
を、時間遡行する超計算機の膨大な計算資源をつぎ込んで見事完遂。ようやく満足できる計算結果を得たけどこれを伝える手段がない→子守歌にして残しました(←謎の信号)、ということでいいんだろか...?
で、
- 歌を解析したジェットジャガー(ユング)が信号解析データで自己を書き換え→PP化
- オーソゴナル・ダイアゴナライザーを所持し、ゴジラ・ウルティマに接近したここぞのタイミングでヒーローっぽく発動
- 特異点は多数に見えて1つ→東京の特異点だけでなく世界中の特異点消滅
- 破局回避
ってな結果になりました、と。
「そうか...そういうことでしたか...」
葦原氏は(本来神野銘や有川ユン、そしてジェットジャガーPPに宛てられた)ペロ2からのメッセージを発見し、解読できた内容に従って行動していた第三者、みたいな感じ?
それとも、アーキタイプ研究の過程で「なんかこの信号はアーキタイプと関連が深そう」と感じて調べてた、くらいの話で、中身まではわかってなかったのか。一連の因果の発端であるシヴァの作者ではあるけど、ペロ2とはなんの関係も無い...?
「破局を目前にした未来人(蓋然性が高いのは有川ユン)が時間遡行し、破局回避のための研究をしていたのが葦原氏」
みたいな解釈も有ってこれはこれでそれっぽいなと思ってたけど、違ったらしい。アーキタイプを使うゴジラSPの時間操作で、質量を持つ「物体」は運べていない。運べるのは光子のようなエネルギーと、それに載った「情報」だけ。
同様に、
「ミサキオク地下のゴジラの骨は、東京を襲撃したゴジラ・ウルティマの成れの果て」
(ゴジラを始末できず、瀕死か死体で過去に送った)
もアリだなと思ってたけど、件のウルティマちゃんはオーソゴナル・ダイアゴナライザーで構成分子を書き換えられて消滅→これも違う。骨は別個体。例の屏風絵に描かれてたように、自然に紅塵が漏れ出てる場所から、定期的にゴジラ他が生まれてるらしい。
ちらっと出てきた葦原氏本人は、(MGをやばめの目で見ては居たけど)思ってたよりマッド風味が薄い、「普通の研究者」風のヒトだった(^_^;) 彼は電算機からリアルブートで出てきたわけじゃないだろうし、どっかに隠棲してたってこと...? 葦原氏関連はほぼ説明無しに(むしろ謎を増やして)終わってしまって、わからないことが多い。
分子の書き換えができるやつが居ると「特異点」の量産が可能になるんで、自然物か人工物かの判断が難しい。アーキタイプを製造できる葦原氏は、やろうと思えば結構ヤバいことが出来るし、今回の危機に関しても実際になにか仕掛けてた可能性はある。「破局に対処しようとしてた」と「破局に至りそうな仕掛けを施した」は、本人的にはなにも矛盾していないかもしれない。
顔周りとかしっぽとかほぼチタノサウルス。他人の空似にしては似すぎてる気がする。
最終話まで完走した後だと
「海はΧなんでつまり(エクシフと同じく)X星人ちゃうか?」
ってな妄想も「全く的外れ」とは言えないようで、中心的にMGを製造してそうなマイケル氏はビルサルド=ブラックホール第3惑星人、その後ろの葦原氏は真船博士に相当する...ように見えなくもない。そう考えると、ゴジラ・アクアティリスにチタノサウルスの意匠があるのはもしかして...とか妄想が膨らむ(^_^;)
件の危機は、本当に「天災」だったんだろうか...?
でも、怪獣デザインと過去作品にリンクがありそうなのはこれくらいで、ゴジラSPの怪獣デザイン全体をぐるり見渡すと
「ゴジラSPの怪獣デザインは、商業的要請から複数の怪獣の特徴を併せ持つ」
という話だったように思えます。1クールで話数的にも登場怪獣の数が限られる(毎話1種ずつ順番に出して、OPの最後に「怪獣なんとか登場」とかテロップ出すわけにもいかん)ので、1つの怪獣に出来るだけ沢山の要素を詰め込み、過去の怪獣に対するフックを増やしときました、ということなんだと思う。
この辺は明らかに商業上の理由で、メタな話だった。
ゴジラが1種だけではアイテム的に少ない→各種怪獣の要素を持つ複数形態に変態しますとかもそう。他怪獣もそんな感じで、クモンガ関連はメガロとかガイガンとかヘドラとか、特に顕著でした。しかしどんだけ「ゴジラ対メガロ」推しなのSP。そんなにシートピア人の犠牲者を増やしたいのか?!(^^;;
物語がメインで想定してる構図が
「ヒトvs怪獣」
で、基本的に「ヒトが対処可能なサイズの怪獣」がわらわら出てきて携行火器あたりでなんとか対処しようとする話(エイリアンズとかトレマーズとかの仲間)なんだけど、ゴジラものなので最終的には巨大怪獣を出さざるを得ない→同一世界に大小の怪獣が混在することになってしまい、世界観がちょっと怪しくなってました。
小さい怪獣ならそう気にならないんだけど、サルンガやウルティマちゃんみたいなデカイのが小さな人間1人だけ狙って襲いかかるみたいな描写は、どうしても違和感が出る。ここでも(対ラドンやクモンガ戦みたいな)「ヒトvs怪獣」をやりたいんだと思うし、確かにそいつらは「怪獣の主敵」としてふるまってるヒトなんだけど、ちょっと怪獣さんがそのことを理解しすぎてて、本気を出しすぎてる感じ(^_^;)
(ケヴィン・ベーコン繋がり:^^;)
ゴジラSPは、いままで漠然と認識してた「怪獣映画」と「モンスターパニック映画」、特に日本製の両者は根本的に違うものなんだなぁとよく分かった事例なのかもしれず。
画面に写ってた数にしても時間にしても戦闘回数にしても、ふつーに「ラドン映画」でしたよね? あとサルンガ(^_^;) ラドンは沢山いる代わりに最後まで小さいままのやられ役で、「空の大怪獣」に成長することは結局なかった。
そして(軍ではなく)個人に武力を補助する手段としてのジェットジャガーだけでなく、知力を補助するAIを投入してくる構成は「へぇー」と感心。まぁAIについては「最後のオチまで担当する知力補助」という実務以上に「ペット風味」というかにぎやかしが大きかった気がします。可愛かったですねペロ2(^_^)
アップデートで一旦知能部分を初期化されたジェットジャガーPP(ペロ2)が、ユンの提示した「1+1」の答えを得るため、まず数論を参照して自然数を把握してから演算を開始する流れもぐっと来ました。この学習プロセスは「知能が物事をどう把握するか」をかなりはっきり示してて、(いささか人為的ではありますが)なかなか興味深い。
「聖書の全文を5文字で送りたいとする」
「不可能だ」
というシンプルなやり取りは、膨大なデータを超圧縮することがストーリー上の肝であるシュタゲに対する挑戦とみなしてよろしいか(笑)
実際、この「ジェットジャガーPPのアップデートプロセス」と「シュタゲのタイムリープ」は、色々と共通するところが多いです。というか、「膨大な情報を超圧縮して伝達」「情報だけが時間軸を超える」という意味でほぼ同じ。違うのは圧縮手法の具体性だけで、ゴジラSPは「ブラックホールだから」みたいな思考停止することを、自らに許せなかったんだと思う(^_^;)
(どうでもいいことではあるけど、シュタゲの圧縮法は原理上エラーリカバリ情報みたいのが添付されそうになく、本当に可逆なのか、可逆だとしても致命的な情報損失に陥るリスクの高い手法なのではないかと感じます。劇中人物はその危険性を無視してるけど、実行者が情報欠損で廃人になってないのは只の幸運じゃないかと:^^;)
巨大怪獣襲撃ってランドマーク建築物が破壊されたりして見た目が派手なので一見大災害っぽいんだけど、物理破壊に限ると実は
「移動する軌跡を両手両足しっぽの長さで広げた範囲+α」
程度しか破壊出来ないわけで、大地震や津波、豪雨水害みたいな広域災害による被害規模とは全然比較にならないのでした。もちろん襲われたところは大破するけど、その少し外に出ちゃえば、実は全然なんともない(^_^;)
普通の「巨大生物災害」は、ただ「まったくの想定外」であり、対象の怪獣が堅牢で排除や対処が困難だというだけで、規模的に「未曾有の大災害」とかそういう感じの話には、(よほど長期間とかにならないと)実は全然ならない。怪獣出現に付随するなんらかの派生災害が有って、初めて「大災害」という規模になりえる。
だからこそシン・ゴジラは
「危機感を覚えた米軍がゴジラに加撃→最大限の防御的反応を引き出す」
ことで首都圏が焼き払われるプロットを採りました。
「ゴジラはほっとくと群体化して拡散し手に負えなくなる」のですがそれはのちの話で、日本にもっともダメージを与えたのは、強力な米軍の経空攻撃に対する対応防御=「持てる燃料のすべてをつぎ込んだ、自爆的とすら言えるゴジラの自己防御行動」だった。
ゴジラSPでは怪獣災害を大規模、かつ深刻化させるため、
「怪獣が自らに適した環境を連れてきて既存物を上書きしようとする」
プロットを採ってます。侵略的外来種。怪獣が出たところは紅塵で埋め尽くされるというアレですね。視界が真っ赤に染まるとか見た目も派手で、わかりやすい。
特撮で侵略的外来種とか言われるとワタシ的には仮面ライダー鎧武のヘルヘイムの森がまず思い浮かびますが、実際ゴジラSPと鎧武の物語構造には似た部分が結構あります。「在来種に向かない有害環境で上書きされる」行程が見た目でわかりやすく表現されてるところも似ている。
「オレンジアームズ! 花道・オンステージ!」
怪獣の適応環境を構成する紅塵は怪獣の能力の源でもあり、つまり紅塵に対処できれば怪獣へも対処できる。そして紅塵は"水中の酸素を破壊する"オキシジェン・デストロイヤー(微細酸素が分子間に入り込んでファンデルワールス力をアレする作用があるらしい:^^;)で対処出来ない→対処法として、同じ略称のオーソゴナル・ダイアゴナライザーが設定されました、という話かと。
「『鍵』が合えば触媒のように働き、紅塵(アーキタイプ)を連鎖的に変質させられる」
というオーソゴナル・ダイアゴナライザーは、一撃で諸悪の根源=アーキタイプを消滅させられる、典型的な最終兵器(^_^;) ゴジラSPは本質的に、この『鍵』を必要な時間と場所にお届けしようとするお話だった。
ただ、大規模化、複雑化しちゃった危機に対し、『鍵』1つですべての問題を一気に解決しようとしすぎてる印象は、正直ある。ゴジラSPの「いきなり全部思い出す」(「消えた後継者」かよ、ってツっ込んじゃった:^^;)もそうだし、鎧武も
「主人公が神となり、文字通りの『神の力』ですべて解決する」
ってオチは、やはり少し無理があるんじゃないかと思う(^_^;)
ゴジラSP解決編では
「ベクトル空間の線形写像を底を変えた固有値に変換して対角云々」
みたいな話がひとくさり入るのかと思ったけどそれもなく、オーソゴナル・ダイアゴナライザーはただ「入力した数字に応じて効果が変わる爆弾」みたいな扱いで、(サマーウォーズみたく)有川ユンが数学の天才だとかは特に関係なかった。コードを得て使ったのはあくまでペロ2とその系列AIで、人間はただ「AIの製造者」だった。
この方式、届けるのが『鍵』1つでいいので話の流れは簡単だけど、正しいコードがあることで何がどうしてどう変わるみたいな原理の説明をすっかり流しちゃったので、ちょっともやもやする(^_^;)
もちろん円城氏はそれなりの理屈を考えてたんだろうけど、本編には入らず。たぶん数列とか線形代数の話になるんで、エンタメに向かなかったんだと思う。
数学的解法を具体的な問題に落とし込んで、空間ベクトル対称の問題とかにすればなんとか高校数学の範疇に収まるような話になる...かなぁ? 実際には更に多次元のベクトルの話になると思われ、ワタシが想像してるような手段を、数学的なテクニックを使わず普通にイメージするのはちょっと難しいかもしれない。
「あらゆる願いを叶えるランプにその消滅を願う」
「方法はランプ自身に考えてもらう」
この話は、結局どうなったと考えればいいんだろう? 作中、オーソゴナル・ダイアゴナライザーや超時間計算機シヴァが願いを叶える的にふるまったことって...あったっけ? 時間軸をいじれる道具として未来や過去に干渉し、欲してた答えを出してはくれたけど、シヴァを魔法のランプ等と感じたことは一度もなかった気がするし、シヴァの最期はめっちゃ物理的な破壊だった(笑)
「アーキタイプを使って特異点が破局に成長する過程に割り込もうとしていた」
超時間計算機シヴァの話は...難しいですねぇ(^_^;) シヴァはプロットの肝なんですが、どういう原理でどういう処理をするかという説明がふわふわで、どうにもとらえどころがない感じ。結局「(時間軸を曲げて)膨大な計算が可能」というよりは、「(時間軸を曲げて)原因と結果を逆転させる」道具になってたような気がする。
「過去方向に計算を伸ばすことも理論上可能なはず」
可能...なんか?(^_^;) 「超計算機で」「アーキタイプを生産する」手法も結局謎なまま。物体を構成する要素数列をいじるんだと思うんですが、実際の物質は数字で構成されているわけではなく、鉛筆と消しゴムで書き換えられるものではない。シヴァに限らず、ゴジラSP関連の説明には概念だけで「具体的にどうする」がすっぽり抜け落ちてるものが多い。
テネットの「回転ドア」も相当アレだっけど、作劇側に「ここではこうなるんです!」って言われたら、視聴者は「はぁそうですか」と肯くしか無い。なんだ逆行弾って(^^;;
計算機と考えるからおかしな感じになるんで、物質を変質させる機械が計算もします、的に考えたほうがいいんだろうか...? 分子のNC旋盤みたいなイメージ??
シヴァが建造された時期から考えて、シヴァの計算ロジック回路に微細集積回路が使用されていないことは間違いないと思う。だからシヴァには大電力が必要だし発熱も大きい...という描写があの「太いケーブルがいっぱい張り巡らされてる」なのかと。でも、それ以上のことはなんもわからん(^_^;)
クソ重たいプログラムであるペロ2がするりと入って問題なく走ってるので、それなり以上の性能と幾ばくかの互換性があるのは確定なんだけど...。肝心な箇所に謎の技術が使われているけど、「原理原則が他の計算機と全く異なる新概念で動く機械」という感じではなさそう。「なにかが継ぎ足された計算機」らしい。
ただ内部計算してるだけではヒトに何も伝わらない→互換性のあやしい他所のプラットホーム上で、わざわざGUIというか戯画的なポンチ絵を作ってご主人さまにいちいち状況を見せてるペロ2、マジ忠犬。これグラフィック関連の負荷が馬鹿にならないだけでなく、AIが物事をどう捉えているかという知能論の話にまで行き着く凄い命題と思うのですが、とにかくビジュアル優先らしい(^_^;)
ジェットジャガーPPの活躍で結果的に「破局」は回避されたのですが、繰り返し「破局するととても拙い事になる」というだけで、具体的に破局するとなにがどうなるみたいなイメージは、最後までわかりませんでした(^_^;)
図を見ると「破局は特異点の指数的増殖」で、「特異点が破局になるのを食い止めた」わけだから、破局というのはつまり「地球が紅塵で埋め尽くされる」みたいなことかとも思うのですが、果たしてこれが宇宙全体に波及するような危機なのか、よくわからない。作中でも破局対策は、ギリギリまで「あくまで紅塵対策のついで」みたいな感じだった。
「破局」と「紅塵(から出てくる怪獣)」がゴジラSPにおける2大「危機」だったわけだけど、終わってみれば「対処すべき危機」は紅塵=侵略的外来種1本に絞っても良かった気はします。「パシフィック・リム」はモロに「怪獣の地球に来る出口を塞ぐ」話でしたが、"たかが巨大生物とその付随環境"程度ではクライシスの度合いが足りなかったのってことなのかなぁ?
怪獣ものである以上、怪獣=侵略的外来種は外せない。となると、筋立てをシンプルにするには破局の方をなんとかするしかないんだけど...。
虚淵アニゴジでも「地球大ピンチと思ってたらそれどころじゃなかった」的に宇宙規模の大惨事を設定してましたが、怪獣映画としてならそこまでデカイ話じゃなくても良かったんじゃないかな? いや、「怪獣映画になりたくない」からこそこういう概念の話になっちゃったってことなのか...(-_-;)