【DIY】加圧ポンプ増設で給湯状況を改善【水道工事】
拙宅はガス給湯(元々は灯油給湯だったのを燃料補充が容易なガス式に替えた)の古ーい高層住宅なのですが、生活空間が上の方→屋上貯水タンクとの落差が足りないようで、水温が下がる冬場には給湯量の減少や
「どうやっても給湯器が点火しなかったり、点火してもすぐ消える」
状況がまま発生し、洗面所からお湯が出ない朝とか、とてもちめたい思いをしておりました(-_-;)
この症状、
- 気温(水温)が低い=定温まで温めるために必要な熱量が大きい
- 貯水タンクの水面(=給水圧力)が低く給水圧力が低め
- 吐出量の少ない上階の洗面台の蛇口のみを開いている
の3条件を満たした場合によく起こる...みたい。落差が大きい下階層や、吐出量の大きい風呂場の蛇口を開いた場合はほぼ起こらない→どうも「ボイラーが焼けない最低水流量を確保できない(ので火が消えちゃう)」っぽい動き。
「それって水道管がサビとかで閉塞してるんじゃ...?」ってのはワタシもわかってるんですが、給湯器を含めた給水状況そのものが建物を最初に建てたときからかなり変わってますし、建物に埋め込まれてる水道管そのものだと、自分ではちょっと手出しできない。
そして今年の冬も、お湯が出ない状況が頻発し朝ちめたい→この状況を自分でなんとかすべく、給湯水路に加圧ポンプを取り付けることで、特に深刻な冬季給湯状況の改善を図ります。
給水路の加圧には
家庭用ミニブースター UPA UPA15-90-N | グルンドフォス
という、100mm径ほどの小型ポンプを使います。
このポンプ、構造図を見るとなんとモーターの回転子を含めて全水没しており回転軸とかまったく大気に曝露してません。そして中身も容器もみんなステンレス製。液体ポンプ前提だとこんな設計ができるらしい。
モーターがまるごと缶詰になってるので「キャンドモーター」。これなら確かに(シールしてる可動場所がないので)そうそう漏れないでしょけど、軸受とかの注油とかメンテナンスって、一体どうするんでしょね? 水没軸受の寿命も気になる。やっぱ使い捨てなんかな?(^_^;)
まぁ(ポンプとしては)安いしな~。
問題となっている洗面台の蛇口で現状(対策前)の出湯量を測定してみたところ、
1L/17.5秒 = 3.4L/分
くらい。
当該ポンプの性能曲線を見ると、60Hz環境下では9m程度の揚程が期待できそうです。加圧によって貯水タンクを2階分くらい持ち上げられる計算。
やはり性能曲線より、その際に消費するであろう電力は
100W = 100J/s
前後と読み取れる→仕事量を重力加速度9.8m/s2で割ると理想揚程10.2mくらい。期待揚程の9mを理想揚程で割ると、その効率は88%ほど。
ポンプのことは正直よくわかりませんが、電動モーターで渦や乱流から逃れられない液体を回していると考えると、随分頑張ってる数字のようにも思える(あくまでポンプのみの線表より計算。グロスだと配管の管路抵抗他も考慮しなきゃいけない)
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配管をいじろうと給水管の保温チューブをはぐったら元の鉄管がぼろぼろに錆びてた→今回これをまるごと(お手軽な)VP管に置き換えたわけですが、各々の継ぎ手が
- 給水バルブのネジ継ぎ手→20A(R3/4)
- 加圧ポンプのネジ継ぎ手→15A(R1/2)
- 給湯器のネジ継ぎ手→20A(R3/4)
となってしまう状況を解決するため
給水管 - ゲートバルブ - 20A - VP20 - VP16 - 15A - 加圧ポンプ - 15A - VP16 - VP20 - 20A - 給湯器
という「頭が痛くなるようなつぎはぎ配管」となりました(-_-;)
小型ポンプ(それでも数キロはある)なので別途ポンプ台座等は用意せず、水道配管にぶら下げるようなカタチで保持します。そのため荷重がかかる給湯器の固定や、給湯器と加圧ポンプをつなぐ配管には十分な強度が必要。
VP管だと、管同士を接着してからポンプを取り付けるまでに長めの乾燥/硬化時間をとっておきます。
給湯器と加圧ポンプの間隔は24センチほどあり見た感じちょっと間のびしてますが、ここはソケットとアダプタをほぼゼロゼロの突き合わせで接続しており、これが最小長。このつなぎ方ではこれ以上上にポンプを付けられない。
そして、ポンプの下側部分に段がある→ポンプ下に垂直にアダプタを入れるには高さが足りない→アダプタによるパイプ径変換が「エルボで曲げた水平部」にまではみ出てますが、なんとか配管を接続。
継ぎ手のソケットは、ちゃんと金属インサート付きを使いました。樹脂のみソケットのほうが安いんだけど、無理やり圧力をかけようとしてるわけで、ここはケチんなかった。まぁインサートありなしの差額なんてしれてますが(^_^;)
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ポンプについてきた15A真鍮ユニオン継ぎ手はどうも1/2インチの六角棒レンチでねじ込む仕様らしい(継ぎ手内側の六角穴の対面が13ミリちょい)のですが、そんな特殊サイズの工具持ってないしそんじょそこらで売ってないので、手元にあった12ミリ六角棒レンチに0.5mmアルミ板を貼り付けて工具を自作。
いかにも「やっつけな工具」になっちゃって強度や精度に多大な不安がありましたが、これでもなんとか管テーパーねじを嵌合するために必要なトルクをかけて回せたみたいです。ちゃんと漏れなく嵌合。
↓いちおう、「ちゃんとした工具」を探せば「無いわけではない」みたい。
配管が終了したらバルブを開けてポンプに通水し、スイッチを「AUTO」にして空気抜きをしてから実験加圧してみます。ポンプのスイッチ「MANUAL」が常時加圧、「AUTO」が通水時のみ加圧するモード。
結果>
出湯量:1L/13.3秒 = 4.5L/分。3割増加。
低気温時も洗面器開栓で給湯器100%点火。湯圧力倍増
→加圧ポンプでなんとかしたかった問題は、ほぼ解決できた(^_^)
ポンプは「水流」を即感知し、瞬時に加圧を始めます。加圧タイムラグは、ポンプ(給湯器)側だとほぼ感知できない。加圧ポンプの作動音は非常に静かで、ほとんど聞こえません。ポンプのボディに触ると振動で動いてるのがわかる、くらい。
蛇口側から見ると、蛇口を開ける→
「じょぼ(低圧)、じゃばーーーーっ(高圧)」
って感じ。
逆に蛇口を徐々に絞っていくと、ある段階で加圧が止み、出湯が唐突に弱くなる(そして給湯器が消火する)のがわかります。混合栓だと、いきなり湯水の圧力比率が変わって混合比激変→急に冷たくなる。
この「入力と出力が線形に応答しない」感覚は確かに「無理やり加圧してる」系で、ターボチャージャーっぽい。
加圧ポンプの導入で水圧が上昇し、すごい勢いでお湯が流れる→「蛇口を捻ってからお湯が出るまでの時間」も短縮されたのですが、まったく予想外なことに「蛇口から出てくる湯の温度」が、大幅に上昇しました。
正直、従来の感覚そのままで混合栓を操作すると、出てくるお湯が熱すぎてかなり危ない(^_^;)
蛇口から「熱湯」として出てくるお湯の温度を測定したところ55℃とかだったので、異常高温というわけでもない。いままでがぬるかっただけ、みたい(^_^;) まぁ使用時に水湯の混合比を変えればいいだけだし、「寒いのに給湯器が点火せずお湯が出ない」ことを思えば随分マシ。
給湯器の設定は65℃のまま変えてない→これがこの給湯器本来の実力なんでしょう。従来は水圧/流量が足りず、4段階あるらしい火力設定の下の方しか使えないとかの理由で「出湯温度が設定まで上がりきってなかった」模様。
この機器をお客様に快適に使っていただくには、給水圧が150~500kPa(約1.5~5kgf/cm2)は必要です。
特に給水圧が低い場合には、機器の能力が十分に発揮されず、お客様とのトラブルの原因にもなりますので、加圧ポンプを設置するなどの対策を講じてください。
↑給湯器のマニュアルより引用。
下限1.5kgf/cm2ということは...貯水槽の水面から給湯器までの落差が最低1.5m必要ということか。屋上貯水槽が設置されてるのはワタシの身長より上→落差1.5mならあると思うけど、せいぜいその倍、3~4mってところだと思う。実際に、加圧ポンプを増設することでようやく性能が発揮されたカタチ。
暫く様子を見ますが、給湯器の設定をいじることになりそうな気がします。基本となる給水圧が変わったので2次圧力も再調整したほうが良さそう。場合によっては、洗面台に温度を自動的に調整してくれるサーモスタット混合栓の導入を検討する必要があるかもしれず。
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