紅殻のパンドラ11巻&52話

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紅殻のパンドラ [Comic Walker]

「日本人は温泉好きなニホンザルから進化した」

「日本人のテルマエ好き」を説明する、コレほど説得力のある説は初めて聞いた(^^;;

義体とロボットしか居ない「お風呂」(外部露出してるのは全て機械部品)に、ぽろり防止用の「規制(謎の光)」を装備するブエル△。

後の攻殻には「性器は生身」という描写があるんだけど、紅殻時代の七転福音は「脳殻以外機械」で、ロボットと異なる生体部品は頭部(の一部)だけ→股間のパンツ部にやばいものは付いていないハズ。

単行本のおまけまんがでも「生体部品はこのへんだけ」と、脳殻から延髄までを示すシルエットが描かれており、首から下に生体部品は存在しないと明記されている(だから栄養や酸素の消費が少なく便利→生々しすぎる、というオチが付く:^^;)

実際にアニメOPでは「全裸の七転福音をカメラが上下になめる」カットがあり、「両脚の間にあるのはボディ下部を覆うカバー」だとはっきり見える。其処にあるのは機械部品であり、「見えていけないもの/描くとまずいもの」など其処に付いてはいないのだ(^_^;)

つまりM字開脚してクローズアップしても平気!(笑)なハズだけど、生身の人間にしないことは全身義体者にも(当然)しない→身体構成要素に関わらず人間の身体は衣服で覆うもので、全裸は「猥褻」なんだろう。

従来と異なる、新規のフェティシズムも勃興してるんだろな(^_^;) 性的嗜好は「人様に迷惑をかけない限り」尊重されてると思う。そして彼らが性的マイノリティかどうかは比率の問題となり、なんともいえない(^_^;)

少なくともブエルAIが義体/ロボを差別しないことは、ばらまかれた「お宝フォルダ」の中身を覗いた我々には既知(笑) 水着回ではセブロの婆さん(アンナ・ハルナ・デ・セブロ。シロマサ世界銃器の多くを作ってるセブロ社創始者の妻)ですら積極的に盗撮しており、彼の「人型♀の足」重視フェティッシュポイントがどこにあるのかわかりにくい(^^;;

内分泌系を持たない完全義体の「心臓」=心拍ポンプが、物理負荷ではなく精神状態に応じて変動する描写はとても興味深い。本来人体が化学物質で起こしてる反応を、ソフトウェアでエミュレートしてる、みたい。こうしたエミュレーションは性能に影響を及ぼさないけど、義体のコミュニケーション能力向上が期待できる。

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↑「かんたんクラりん」「かんたんフォボス」はまつげで識別する(笑)

ロボットであるクラりんも、パンドーラデバイス使用時に「わざわざ適切な(下腹部を弄ってるっぽい)表情になるようパラメーターを調整してる」描写があり、入力に対する反応を細かく作り込んでいることが伺える。

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いせスマで「長い長い時間を掛けて『入力に対する反応』を作り込んだ結果、十分な多様性を得てまるで生きてるかのように動くようになったぬいぐるみ」なるキャラが出てくるんだけど、クラりんの表情変化プログラムもその一種と思われる。「生きてるように見せ」たかったのだろうウザル女史は。

七転福音の歴史授業として「ペレストロイカ失敗」「ソ連8月革命」が語られます。つまり赤軍のソ連8月クーデターが成功し、ゴルバチョフかその後継は失脚して別の保守的な誰かが共産党独裁を維持したから21世紀にもソ連がある、らしい。

大祖国戦争終結→アフガン紛争までの流れが我々の知る歴史と相似形なら8月クーデター=1991年当時のソ連の屋台骨は相当グラグラしてたと思いますが、なんとか持ちこたえたみたい。クウェート侵攻→湾岸戦争という流れはどうだったんだろう?

売るときイラクを納得させてT-72BVやBMを売ってれば多少マシになる...かな? 暗視装置の性能と、弾薬の基本配置が変わらなきゃ大差ないか?(^_^;) M1A1がAPFSDSを撃ってきてもコンタークト5等の新世代爆発反応装甲が付いてればなで斬りまでには至らないはずだけど、撃ち返してM1に損害を与えうるかはそれでもビミョー(^^;;

遠距離撃破を可能とするFCS+ラインメタル120mm戦車砲+劣化ウラン弾芯APFSDSの攻撃力も十分厄介なんだけど、湾岸戦争時のM1は結構な数が重装甲型のM1A1HAで、2A46Mの射程いっぱいで撃ち込んだAPFSDSが運良く当たっても正面撃破できる見込みが高そうとは思えない。強化砲弾3BM-46は91年からで間に合わない(^_^;)

湾岸戦争での陸戦経緯を歪めようと思うと、米陸軍がクライスラーM1ではなくMBT-70の改型を装備し、MGM-51シレイラと9K112コブラ(または9M119)でガンランチャー対決とかのレベルまで歴史をいじらないとダメかもしれない...けど、このコスト上昇は第3世界の正面軍備と、なによりソ連経済に大きなダメージを与えてしまうだろう。ソ連の崩壊がむしろ早まるかもしらん(^^;;

52話は(も?)フォボス回。そしてお風呂回。ポセイドン所属時はずーっと黒幕的な「何でも知ってる」風思わせぶり台詞を吐き、クラりんとの戦闘ではエキセントリックさを爆発させて「ヤンデレキャラ」ぶりを発揮してたフォボス嬢ですが、コロバセ邸常駐後はわりとまとも(に見せてる)で、「典型的なAIキャラ」には理解しづらい特殊知性体=七転福音を熱心に観察しとります。

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"適合者"七転福音は人と機械の境界が曖昧な「異能者」で、妙なところが人間臭い→2点を最短距離で繋ぐやり方"のみ"を最善とするAIとは相性が悪く、「非効率」「非論理的」だと見てしまうのも仕方ない。

「私の怒りが有頂天ですの!」

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福音と付き合いの長いクラリンは

「複雑系集団として振る舞う『チーム』は単独要素の集合と別物」

と既に理解している...という描写を「モンハンで補助に徹する接待プレイ」という動きで表現する構成は上手いなぁと言うべきか、このゲームは集団でのチーム戦前提だと全プレーヤーに共有させてるカプコンのゲームデザインを褒めるべきか...(^^;;

最近の紅殻は背景のシロマサ情報を積極的に明かすようになって見どころが多いのですが、11巻も情報が多い。11巻は基本「フォボス参入」巻。

明瞭にウザル&クラりんを「お母さま&お姉さま」と認識していることからフォボスは自ハード&ソフト共に(クラりんと同じ)ウザル謹製と、少なくとも本人は思ってるみたい。これはクラりんの「2号機以降にはAIが搭載されてない」証言と矛盾するためどちらかが誤りと思われるんだけど、よくわからない。

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まぁ単なる予備機体(=部品扱い)に1つ1つ固有名まで与えてるのはちょっと不自然&この件について語るクラりんの様子があからさまにおかしい(かつて交戦し敗北したっぽいイメージが重なる)ことを鑑みるに、どちらの言い分に信頼度が高いかわかりそうではある(^_^;)

タクミちゃん&ウザルがポセイドン関係者ってのは解ってた(ウザルのお人形=クラりんの武装に「ポセイドン製」刻印があるとか)ですが、どうも「元従業員」とかのレベルではなく、2人共ポセイドン製デザインチャイルド(バイオロイド試作品?)出身の模様。クラりんは「体質」で片付けてますが、診察で表示されるバイタル数値は(人間としては)異常で、「元々そういうふうに動作する生物」とみるほうが自然。

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(後で気づきましたが、シロマサ氏の設定メモに「普通の人間ではない」旨の記述がありました。先行型バイオロイドで間違いなさそう)

「義体やロボットの躯体にはAEDの装着が義務付けられている」設定はワロタ(^_^;) やっぱこういうひねくれた設定させるとシロマサ氏は天下一品。クラりんの台詞(AED機器をネコパンチに流用)とか見るとAEDの制御は躯体から独立しておらず、「義体の一部」=内蔵機器の1つとして任意に制御できるようで、A(自動化された)除細動器ではなく、単なる「除細動器」「同期性通電器」と呼ぶべきかも。使用は医療行為になりそうだけど、医師法の対応はどうなるんだろう?

日本公安のP-2501プログラム=ニコちゃんが着々と「人形遣い」に近づいてるのは既定路線ですが、今回(ノイズに覆われつつ)「生体信号解析プログラムの世代を進めると霊能局に目をつけられる」とか口走っており、紅殻時代の日本(攻殻の少し前)に霊能局が存在してることが判明。未だ義体制御は適合者の才能頼りの段階で、ゴースト系の研究とかそんなに進んでないハズなんだけど、日本国は早くも霊能局という部署をつくるところまで行ってる模様。やるな日本。

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プロトコル解析の話は前巻ですが、たぶんシリーズ全体を貫く大ネタです。

"適合者"七転福音は、通信プロトコルの魔法使い(ウィザード)である。

「プロトコル(通信手順)のデコンパイル(情報交換)」

彼女は「機械に親しい人間」ですらなく、本来通信手順が「ない」はずの情報さえ無造作に読み書きできてしまう「本物の異常者」ですよーという、いままでチラチラと出てきた表現がようやく言語化されました。特異な才能=「異能」という表現では、この異常性を表すのに適当とはいえない。

「情報の【次元】が違う」
「だから【次元】を【変換】してやればいい」
「2人で【変換】と【演算】を手分けすればできる」

福音が書き換えたクレイドルはゴーストの深遠と繋がる霊界通信機になってるわけで、そりゃニコちゃんもビックリだし、霊能局がほっとくわけがない。この「ゴースト接続」とサイバスロン時に出てきた「プリセット・プログラムでない義体制御」の話は、いかにも義体技術のブレークスルーになりそう。

凡人に「暗号解読」は出来ないけれど、「暗号表を見ながら読み解く」ことはできる→異常者の才覚によって「適合者」の必要・必須能力を明瞭化することが出来れば、そこを補助してやることで「適合者以外」でも義体を制御できることになり、「現時点ではほんの一握りの特殊な人にしか使えない」義体がそうでなくなることになる。

ロバートさんちの特訓回は"超高性能ロボット"クラりんとの立ち会いを通じ「人間がロボットを制するための"決定的な何か"」を模索する話。ロバートさんはここで2度めの「ロボットに打撃を通す感覚」を達成するんだけど、2度とも「踏み込みに失敗し最適動作を行えない(=流れた)打撃」で、おそらくこれが対ロボット戦の切り札になると思われる。

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フォボスが理解できなかった「最適でない動作」が、対ケリュケイオン戦での活路になるんだろう、多分。

打撃は力学的に見ると「衝突」で、運動エネルギーを持って飛来する拳足の「非弾性衝突」で発生する撃力を散逸させて対象を破壊する行為→反応速度が十分に早ければ衝突と逆方向に旋回や後退することで「衝突」を緩和し無効化できる...ってのが達人やロボットの防御なんだけど、ロバートさんはこれをさせない打撃手順を掴んだっぽい。

「衝突被害軽減ブレーキ無効化拳」とでも呼ぶべきか(^^;;