続・Fuji Transonic 2.7 (2015) の話
Fuji Transonic 2.7は
「PF30なフレームにpraxis worksのBBコンバーターを噛ませて24mm軸クランクを挿す」
というかなり不思議な構成の完成車ですが、
・フレームはBB部がただの筒になり作るのがラクチン
・BBは内径24mmでホローテッククランクが使える
ということで、構成としてそう悪くないみたいです。そのまま標準的な24mmクランクが使えるし、BBを本来のPF30に戻すことで30mm軸クランクにすることも出来る。
Praxis Works製PF30コンバーターは、樹脂スリーブながら単純な圧入ではなく左右のコンバーターがネジで嵌合するようになってて、かなりガッチリ止まってます。
ただし、コンバータはぎゅっと締め込んだ状態でもフレームの幅より若干幅広で、ねじ込み側となるドライブ側のベアリングハウジングが1mmほどフレームから浮く。浮いてると圧入不足っぽく見えつつ実際には嵌合できっちり止まってますが、この空隙を埋めるために付いてた1mm厚のゴムワッシャーというかスペーサはぶっちぎれました。
工具はホローテック用が使えますが、左右同時に掛けなきゃいけない→1対必要で、かつ結構ぐるぐる回してトルクを掛ける必要があり、嵌合部の全周にかかる、ラチェットハンドルに付けられるタイプのソケット工具があったほうが良さそう。
非圧入式のPF30→24コンバータは同じく嵌合式のWISHBONEもあるんだけど、セラミックベアリングとかの高級品しかなくかなり縁遠い感じ。このBBが終わってもベアリングを打ち替えるか同じコンバータの換装になると思う。一応予備ベアリング及び打ち替え用の工具一式は確保済み。
OVAL製の黒いクランクは6066アルミの鍛造で、クランクアームが細い割にしっかりした感じ。FSAの安物のような「踏み込んだらぐにゃと撓む」感じはしません。クランク長が172.5mmと少し長いのですが、正直170mmとの違いはわかりませんでした。意外とクランク先端が縁石とかに接地して傷がつくのでクランク保護ブーツを装着。
PCD110の5穴チェーンリングはpraxis works製で50/34。こちらはかなりフツー。変速ピンとかもついてるけど、確実な変速にはそれなりに入念なFD調整が必要。いまや少数派になりつつある5穴のギア板は買うと結構良いお値段するので、刃先が摩耗して消耗したらクランクごとシマノ化することになりそう。
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ペダルはWellgo W-01。両面SPDのこのペダル、クランク外面−クリートキャッチ中心が49mmある「首長」ペダルです。メジャーなニーズではないんでしょうが、デカ足とかガニ股とかでなるべくペダルの外側を踏みたいヒトには悪くない。逆に、Qファクターを縮めたい(フツーの)人にはあまり向かない。
FUJI標準のネジはヤワな安物。ボトルケージ穴を塞いでた赤いアルマイト処理のアルミボルトは低精度かつぐにゃぐにゃでまったく使えん→放り捨ててステンボルトに交換しただけでは済まず、アルマイトで汚染されたネジ穴側をタップでさらえる羽目になりました。同時にアルマイト製のやわやわチェーンリングボルトもスギノのステンレスボルトに交換。こんなボロいネジ要らん(^_^;)
ボトルケージは安物。最初は樹脂製ケージを付けてたけど割れたのでアルミ製に交換。ミニポンプはPWTのゲージ付ホース型。ホース付はバルブに負荷をかけずポンピングできるので便利+概略圧力が解るのは使いやすい。スピーディーなCO2インフレーターも携行してるけど、ミニポンプだけでも結構充填可能。
Transonic最大の特徴であるダイレクトマウントブレーキ。こんな小さな部品1つで空気抵抗がどーこー言うのも妙な話と思うんですが、これがエアロロードのアイデンティティとしてかなり大きな割合を占めるらしい。作動軸2本と取付ボルトが兼用→フレーム取付時は専用の「かたちを保つ」治具がないとバラバラになるブレーキ(^_^;)
Transonicはダイレクトマウントブレーキをシートステーに装着するため前後とも「前」用キャリパー(BR-5810-F)を使い、ブレーキシューの向きだけ変えてるという大変強引な設計(^_^;) 当時ダイレクトマウントブレーキの後用(BR-5810-R)はチェーンステーというかBB下に搭載する形状のものしかなかったとはいえ、ちょっとびっくり。
それでも、ブレーキがこの位置に付いてると圧倒的に見やすく点検やメンテがラクです。今なら「リアシートマウント型のダイレクトマウントブレーキ(BR-5810-RS)」が出てるので、たぶん後ろはこれに換装するのが正しい。けど前用のFでも後制動力は不足気味で、後ろ専用→より弱いであろうRSに換装する意味は殆どない。
ダイレクトマウントブレーキの効きは実にフツー。キャリパーを2本ボルトでがっちり固定→ブレーキ周りの剛性が高くもっとかっちり効くのを期待して買いましたが、キャリパーが2本ボルトでがっちり固定される=センタリング調整の難易度が高いほうが効いてるみたい。横から見るとブレーキアーム極太に見えますが、厚みは意外と大したことなくそれなりに撓む→超高剛性というわけではない。
ブレーキシューはSWISSSTOP FlashPro Original Blackに変更。元のR55C4よりもゴムが柔らかいぶん少〜しだけタッチが柔らかくなってますが、あんまり差はなく、どちらも良く効きます。シマノのシューは随分良くなりました。SWISSSTOPは初期タッチが好きで使ってるけど価格差ほどの性能差が有るとは思わないし、長時間ブレーキングを続けて温度が上がるとブレーキ音がいきなり変化し、金属的な擦れ音がし始めるのが心臓に良くない。
車体が軽いこともあり、迂闊に前をギュッと握ると簡単に後輪が浮きます。常に前後のブレーキバランスに気を使い、ハードブレーキングの場合は重心を後ろに送るようなブレーキング姿勢が必須。失敗すると最悪前転する。
極太チェーンステー。特に前縁部が太くてチェーンステープロテクターを合わせるのに苦労しました。BB直後のチェーンステーは周長100mmを超えてますがそこから急速に絞られる形状で、これに汎用品を合わせるのはかなりの高難易度。現在もきっちり合ってるとは言い難い。面ファスナーで無理やり止めてる。
ロードバイクはこの
「チェーンが後輪を引きつけようとする力に対抗する構造」
が頑丈に出来てるのでがっと踏んでもたわまず、出足が鋭いらしいです。あと、三角が固いロードバイクは軽いギアでくるくる回すのがすごく楽。
どーのこーの言ってもロードバイクは高速寄りで、力まずくるくる回すだけで一回り早く移動することが出来ます。足へのダメージも減りました。フレームだけでなく、コンパクトクランク等高速側に寄り過ぎない構成で完成車を組んでるのもありがたい。
まぁ更に32t化とか、とんでもない方向にいじってる訳ですが(^_^;)
ロードバイク化による装備重量の大幅低減(18→9kg)、およびホイール等回転部品の軽量化&性能向上は登坂性能の劇的な向上につながり、従来行けなかったところに次々行けるようになりましたがそれでもキツいもんはキツイ→乙女ギアがあって困ることは何もない。