「遥か凍土のカナン」世界における歴史

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遥か凍土のカナン(はるカナ)は、先般完結した芝村裕吏氏の小説です。同一世界観で繋がるマージナル・オペレーション(マジオペ)に比べると人気無いらしーんですが、ワタシは全巻発売日に買って揃えてます。まぁマジオペも持ってますが。

とにかく入手が難しい本で、偶にメロンブックスでも見かけるけど、基本的に宮脇書店にしか並んでない(^^;;

マジオペの舞台が「現代の延長線上でいろいろ想像しやすい」のに比べ、はるカナは20世紀初頭とか時代的差異が大きく、現代のそれと大きく異なるメンタリティとか軍事技術とかで解りにくいのが不利なのか。そもそもの歴史を知らないと、なにしてるのかワカランところもちょこちょこあるし。

ラノベとして考えた場合、ヒロインがどっちもアレなのが致命傷なのかもしらん(^_^;)

はるカナは、大雑把に言うと「日露戦争後(おっぱいに負け:^^;)ロシアに行くことになった元日本軍人がシベリア共和国(割と技術立国志向。木を数えない)を建国する話」で、歴史上の人物とか出来事とかが作中に結構出てきます。一番の大物はたぶんスターリンで、主人公の新田良造と義兄弟みたいな関係。

で、スターリンと中央アジアに出掛けたところで出くわすのがかのマンネルヘイム。ソ芬戦争でスターリンとやりあった張本人だという(^_^;)

未だに不思議なのですが、主人公は殺戮モードに入って単発小銃を連射する際、手指に5発挟んで次々装填するのが必殺技。スリングを使っても左手は銃床から外せないし、右指間に挟むとただ操作困難なだけでなく4股に5発は物理的に難しいと思うんですがこんな単純な既述ミスをするとも思えず、いったいどう持ってるんだろうといろいろ試行錯誤してたり。

挿絵1枚で解決する話なんすが、虎眼先生方式(指6本)以外に解決法があるんだろか…? 1股に複数発挟む系レイアウトで器用に蠢く系…??

ガンマニア的には、良造がシベリアで働く技術者としてウラジーミル・フョードロフ(!)を引き抜いて連れってってるのが非常に興味深い。そのため、早世の自動小銃(アヴトマット。作中では「フョードロフ騎兵銃」と呼ばれる)はシベリアで生まれることになり、フルオート射撃用に直銃床化を提案するのも主人公になってる。

塹壕戦で歩兵へ大火力を付与することを念頭にデザインされたアヴトマットは、最初から「自動小銃」ではなく「突撃銃」。フョードロフの最初の発想からして「必要に応じて機関銃化する携帯火器。全自動射撃時の反動軽減のため弱装弾を使用」という非常に先見性の高いもので、これを受ける主人公がイメージするのも黒溝台塹壕防御の諸兵科連合という、どんぴしゃのど真ん中。

そして、フョードロフは火砲開発中の事故で夭折(ちょっと王立宇宙軍っぽい)→歴史IFとして、ちと興味深いことになってます。このことはマジオペで僅かに語られてます(赤い日本=シベリア共和国は小口径高速弾好き。もっともこれは21世紀の銃器デザインの常識でもある)が、遊べる余地がありそうな感じ。

正直本編でもう少し語られるかと思ってたんですが、物語はシベリア共和国をぽんと成立させて割とあっさり終わっちゃったので、自分で遊びます(^_^;) 設定マニアの極北みたいな芝村氏が作りこんでない訳なさそうなんだけど、見えないものは仕方ないのでとりあえず自分で考えてみる。

1. 国家

作中、1928年までにシベリア共和国とボルシェヴィキの国(ソビエト)、満州国が成立したことは語られてます。シベリア共和国はソビエト連邦の衛星国となり、ソ連崩壊後も同名で存続してるようです。作中戦闘の結果早期にグリゴリー・セミョーノフを殺害した旨の記述がわざわざあり、たぶんザバイカル共和国はできてません。わざわざ「セミョーノフ・グリゴリー・ミハイロビッチ」と、普通と記述順を変えてるのは何故だろう…。

1928年の時点で満州国ができてるということは少し早い→同名の国ながら、その成立過程は史実と異なる可能性あり。この地域には近隣のシベリアからコサック経由で交易及び工作が為されてシベリア出兵時にも対日抗戦した旨の記述がありますし、関東軍はシベリア独立戦争に増援を出して大損害を受けたっぽい→関東軍との力関係が変わることで、袁世凱、または張作霖の動きが違ってるかもしれない。

シベリア出兵の日本軍はチェコ軍団と直接協調して侵攻してます。10万人規模ということで、史実より少し多いのかな? 「シベリア出兵した日本軍がえらい目に」という結果はあまり変わりませんが、非対称戦に翻弄されたというよりは「より機械化の進んだ正規軍とぶつかって削りきられた」かたちになるため、日本陸軍の意識に影響が出てます。

なにせ、対手であるシベリア共和国軍は、新田良造の指導の結果「多数の機動迫撃砲と軽自走砲(ガントラクタ)を備え、突撃銃で武装した機械化歩兵の頭上を航空機で守る」かたちになってます→塹壕に浸透突破してきた突撃歩兵に衝撃を受けたドイツ軍よりも大きな衝撃を受けてておかしくない。

以後ドイツ人は景気のいい「突撃なんとか」を大量に作り始めますが、日本人も「機甲戦力の整備に注力し、量より質を目指す」ようにしたらしーです。「機甲」というのは装甲戦闘車両のことでシベリア戦においては装甲自動車のことですが、重量増加に伴なって装軌車両を装備するようになるでしょう。

ロシア内戦で、コルチャーク率いる白軍を東へ追撃する赤軍→ザバイカルまで突っ込みたいけどこれ以上東進するとシベリア出兵の日本軍と衝突して日露(ソ)戦争になる→「ソビエトと仲良しだけどソビエトじゃない国」を作って突っ込むために作られたのが史実のシベリア共和国(社会主義国だとあからさまなので共和制)

が、はるカナ世界では大戦と内戦でソビエト・ロシアが激しく疲弊→チェコ軍団+シベリア出兵(日本軍主力)の西進に対抗するのを断念→東端を分離独立させ、戦争になってもソビエトは無関係と切り離すことを企図してシベリアを独立させてます。結果は似たようなものだけど、意図が正反対なのが興味深い。この事情ならシベリア独立のために「ロシア人同士相打つ」悲劇が起こらない。

日本人である主人公すら侵略者=日本軍を撃つことに何の躊躇もないので、シベリア共和国は何の葛藤もなく元気いっぱいで防衛戦争してます(^_^;)

シベリア共和国があることで影響を受けそうなのはモンゴルとイスラエル。

1911年の辛亥革命は1917年の2月革命より前→一旦は歴史通り(ロシア帝国を後ろ盾に)モンゴル国が出来てるような気がするんですが、主人公ニタ議長は中国北部を交易相手としか評価しておらず、作中特に何も言ってない。お隣りのことなんで、何かあれば気にしないわけないんだけど…。

で、モンゴル国ができてれば中華民国の圧力で一旦崩壊→赤軍の支援でチョイバルサン(モンゴルのスターリン!)率いるモンゴル人民党が奪取→モンゴル人民共和国になる、ってのが我々の知る歴史ですが、独立の後ろ盾だったロシア帝国がかなりヘタれてることもあり、同じ経緯とは限らない。ウランバートル(意味は「赤い英雄」)という街が存在してるとは誰も言ってない(たぶん無い)

そして、極東のユダヤ国家(凍土のカナン)が存在すると、ポーランド生まれのベングリオンやベラルーシ生まれのベギンの行き先に、多大な影響を与えそう。彼らが早々に極東に移住していれば、イスラエル指導部の面々が第2次世界大戦から受ける影響が劇的に変わる。

マジオペでは少年兵の対比物としてUAVが飛んでるんですが、主人公新田良太は軍事装備品に対する知識や関心が非常に薄く、機種とか生産国に対する記述がありません(^_^;) 特定機種ならイスラエルの存在が確定できたのですが。ラストバトルとなる対中戦に備え大量に揃えた小火器も含めて、イスラエル製がなんとかという記述はいまのところ見当たらなかったように思います(あまり自信はない)

戦間期、ザイオンの地から遠く離れた凍土のカナンで我慢できるのであれば、シオニズム運動の経緯は変わってきそうだし、エルサレムに固執するヒトが減ることでオスマン帝国に対する戦後処理や、戦間期の移民の流れにも影響が出そうではある。それでも要素の比重が変わるだけで英仏露の綱引きは残り、それで即「中東が楽園になる」わけではないだろうけど英国の何枚舌は少し減るかも。

欧州側も、多少移民の流れが変わったくらいでワイマール共和国の貧乏はどうにもならない→貧乏が主因である第3帝国の成立は避けられなさそうですが、「移民への反感」が主因であったような各種政策が、いくらか増減した可能性はある。反ユダヤが薄まっても反共は変わらないし、東方生存圏云々は言い出しそう。そもそも大祖国戦争が無いと歴史との差異が大きくなりすぎる(^_^;)

指導者同士が知り合いだから、というレベルなのでソ芬紛争に影響はないかな(^_^;)

2. 投射武装

塹壕を突破するアイディアとして突撃歩兵が考案され、近接火力を強化するため突撃銃が考案される流れは基本的に同じ。これを実際に行った1916年のブルシーロフ攻勢ではシベリア製の小口径自動火器(アヴトマット。フョードロフ騎兵銃)を大量装備しているけど、装備の数と製造者が違うくらいで結果はあまり変わらない。翌年再度攻勢を企図するも、今度は失敗してブルシーロフが軍首脳から放逐される流れも同じ。

このアヴトマット、開発時に主人公が「こんな華奢な鉄砲駄目」と突っ返した→武人の蛮用に堪えるためバネを2重化した旨の記述があるんですが、後に現場からバネ折損続出という苦情→急遽(再び?)バネ2重化…という話になってます。リコイルスプリングとハンマースプリング…かな? 撃発バネ2重化って、あまり例を思いつきませんが。

バネ折損のときに出る「再生鋼材だとバネ材の疲労強度が大きく下がる」話は初めて聞いた気がします。たぶん高Siバネ材の話だと思うんですが、水素脆性とかでしょか? マンガンとかクロムを添加する話ではなく、原材料で解決してるってのが気になる。脱珪、脱燐、脱硫の済んでる材料を使うほうが悪化するとか。

得意気に薀蓄を語るだけの作者さんもどうかなぁとは思いますが、思わせぶりに書いといて結果を教えてくれない芝村氏のやり方も、ちょっと意地悪な気がしますね。調べるヒントくらいあるとありがたいのですが(^^;;

突撃歩兵戦術=浸透突破を食らいえらい目にあったドイツ人はこれを自家薬籠中のものとし、右余曲折の末突撃銃MP43(StG44)がデザインされることになります。この分野(近接戦闘用自動火器)におけるヒューゴ・シュマイザーの貢献ってかなりとんでもないレベルだと思うんだけど、あまり語られてない謎の分野。

シベリア共和国のフョードロフはソビエトの銃器デザイナー育成にあまり貢献しないまま死去→以後の銃器に重大な影響が出るのでは…と一瞬思いましたが、後々独ヘーネル社がアヴトマットとベルグマンを祖にMP43を作れば結果的にカラシニコフが出てくるし、フョードロフとあまり関係ないトカレフ系列もある→結果はあまり変わらなそう。

でも、デグチャレフやシモノフの経歴が変わることで、ソビエト製対戦車ライフルのラインナップには一時的に影響が出るかもしれない。となると、ソ芬紛争や独ソ戦車戦の展開(戦車戦の戦場に狙撃兵を置く的な戦術)に一部影響がでるかもしれないし、ルパン一味がカリオストロ公国で暴れる際の武装が変わってくる(ぉ

「ロシアのものはうちのもの!」(継続高校校歌←うそ:^^;)

赤軍の機関銃にも影響が出そうだけど、これらはシベリア共和国他で似たようなものを製造・供給する可能性も高そうだし、デザイナーや製造者が多少違っても、全然違う機関銃が出回ってるような気がしません。そもそも多くが(新製品として作りだされるのではなく)「こういうものが欲しい」と要求が出て開発されるパターン→誰かが作りそう。

日本陸軍もこの小口径自動火器の洗礼を早期に浴びてますが、これは規模こそ多少違え史実でもあり、これを以て自動小銃装備等の方向にはまったく向かってません(^^;ので、あまり個人装備に影響はなさそう。貧乏国としてはむしろ大口径化して射程を延伸する方向性が加速するほうが納得しやすい。「完全に7.7mmに置き換えて開戦」するだけでもかなり違う。

アヴトマットの影響を強く受けた日本軍が6.5mmで自動小銃…という展開は青木基行「亜欧州大戦記」で見たような気がします。火力増強のきっかけとしてとても簡単ですが、跳ね上がる弾薬消費量を支えるサプライが難しい。解決策は「産業経済の大発達」とか「超お金持ちの同盟国」とか結構高難易度→あんまり他では見かけてない気がする。

実際6.5mm三十八式実包って今の目だとすげぇ高バランスのリムレス弾でして、後に作られる「8ミリ弾を無理やり切り詰めた」突撃銃用短小弾のような頭でっかち感もなく、防弾ベストを打ちぬく最新PDW用銃弾に近いバランスになってます。勿論それを狙ってデザインされてるわけじゃないんだけど、この弾で突撃銃を作りたくなる気持ちは解る。この弾で装薬と弾頭を工夫し続ければマジで100年使える(実際に使ってる風の描写がマジオペにありました。砂漠で使うと.223より弱い的な評価)

作中フョードロフの弟子として出てくるサカロフさんは、多分日本陸軍の誤認が元ネタと思います。日本陸軍が誤認した「実在しない小銃」の名前を持ってきてる→この世界ではサカロフ自動小銃が実在し、結構有名なのね(笑)

どんな鉄砲なんですかねサカロフ自動小銃。小型軽量の騎兵銃であることは確実ですが、流石に脱着式弾倉はちょっと早過ぎるかな。

まともな火砲を作れなかったシベリア共和国は、代替として重迫撃砲へ流れてます。なんと1910年代の段階で10cm超の大口径重迫を装備してる。

「駐退機の開発に失敗したから重迫」ということらしいんですが、コンパクトな速射砲を欲したわけでも戦車砲を作ってたわけでもない→単純に後座量を増やすとか駐退機の容量を拡大する…という方向にいかずスパっと諦めて乗り換えたのは、シベリア共和国幹部に砲兵出身者(≒大砲教信者)が居なかったせいか。

まぁ安く数を揃えられる重迫のほうが、至近の独立戦争を睨んで軍備を整えてるシベリア共和国にとって当座の役に立った…ということになってる。

赤軍トラックといえば多連装ロケット砲ですが、これはドイツ人がネーベルベルファーを作ったカウンターで、ドイツ人がロケットに走ったのはベルサイユ条約で大口径火砲の研究開発を禁止されたから→まともな火砲を作れなかったシベリア共和国が重迫→ロケットルートを…と思ったけど、防衛戦争用にソビエトから火砲製造技術を供与されて以後は火砲作れるし、そもそもロケットは数寄者というかドルンベルガー+フォン・ブラウン的な人物を確保しないとダメそう。ツィオルコフスキーを巻き込めれば多少違うかなぁ…??

駐退機を持たない火砲→無反動砲という手もないではない。カウンターウエイト式もガスブラスト式もそう新しいアイディアではなく、「とにかく火薬をいっぱい詰める」という安易な解決法(笑)に向いた方式ではある。

エネルギーが逃げるので砲弾の初速が出ない→対戦車兵器としては弾頭が問題で、成型炸薬か粘着榴弾が欲しいところ。ノイマン効果自体は既に見つかってるので使い方というか組合せの問題だけど、そもそも戦車が重装甲化しないと対戦車兵器は発達できないので、4cmとかの小さい大砲で戦車が殺せなくなるまで無理かもしれない。

シベリアの面々には結構胸襟を開いてる様子のヨシフおじさん、ポーランド戦でトハチェフスキーとモメるかモメないか。1919年の開戦時ブルシーロフが極東に居る等結構な差異があり、歴史通りの展開になるかビミョーだし、戦争の経緯によってはトハチェフスキーの経験から得られるドクトリンに影響が出るかもしれない。

これが変わると赤軍の編成に多大な影響が出て、独ソ戦の戦術展開も変わり、戦後NATO軍の編成や対戦車兵器・戦術にまで差異が出る可能性が…。こうしてみると、トハチェフスキーはグデーリアンよりも歴史に与える影響が大きいかもしれない。まぁ(要求コストが馬鹿でかいものの)根本的に正解なので、多少経緯が変わっても結局同じ所に落着するかもしれない。

ポーランド戦はトハチェフスキーとスターリンの関係に決定的な影響を及ぼす事になるんだけど、本作はチェコ軍団+日本軍からシベリアを防衛したところで終わってて、1920年代の世界情勢はほぼ不明なのよね(^_^;) トハチェフスキーはやっぱりポーランドで負けたのか、以降頻発する反乱にどう対処したのか等々興味は尽きない。

まぁ物語の結果、主人公サイドはスターリン本人に強力なコネクションを持ってる→やる気なら、彼1人を説得するだけで歴史は激変します。なにわの総統とか、独裁者の気が変わって云々という話はそれこそいくらでもあるし、ヨシフおじさんは人死にに与える影響がものすごくでかいので…(^^;;

主人公は何時まで経っても「銀行強盗のヒト」としか思ってないっぽいけど。

3. 機動兵器

広大な農地を開拓するための機械化を模索していたシベリア共和国では農業用トラクターが発達しており、早々に自動車化歩兵と自走砲が生まれてます。砲牽引も自動車で、非常に逃げ足の早い軍隊になってる。

ただ、ソビエト戦車(だけでなく、戦車全般)が後に生まれる仏ルノーFT-17から発展するのは変わらなそう。高速戦車を志向するソビエト赤軍が米国からクリスティ戦車を導入し、快速戦車BTシリーズを作るのも、シベリア共和国の有無はあまり関係なさそう。

シベリア共和国はコンパクトで高出力のガソリンエンジンを好みそうではあります(これは他国も同じ。実戦で戦車が燃えて問題化する)が、航空機を大量に導入し航空機用発動機もいっぱい輸入してる→航空発動機から発展するV-2ディーゼルエンジンもそのまま生まれそう

つまり、極東で小さな砲装軌車がどうなろうと、1930年代ソビエト連邦の西の方でクリスティ式足回り+ディーゼル発動機のT-34が生まれる基本的な流れは変わりそうにない(しかし、ディーゼル化のきっかけであるノモンハンでの軍事衝突が起こるかはビミョー) シベリア製トラックの数が揃うようになれば、レンドリースなしでも(戦車跨乗ではなく)トラックかハーフトラックで歩兵が随伴するかも、くらいか。

平行して(多砲塔戦車に見切りをつけ)冶金技術の底上げでトーションバーサスを持つKV重戦車も開発できれば、戦車バリエーションもあまり変わらなそう。構造が複雑な回転砲塔戦車が発達すれば必然的に固定戦闘室の自走砲もできちゃう。複雑なものを簡易化するのは殆ど手間がかからない。

識字率が低い→学校教育を強化した結果、役人が中学生だらけになったくだり(子供たちの国)は笑いました(^_^;) 土壌改良とか移民政策とかも興味深いんだけど、ワタシにはそっち方面の素養がなくて解らない。20世紀初頭の製鋼にも興味あるんだけど、ほとんど記述なし。転炉なのか平炉なのか、さりげに電気が通ってる→電気炉…??


ということで、「思考ゲームとしては面白いけど意外と変わらないっぽい」という結論でした(^_^;) まぁマジオペ自体が「(シベリア共和国があるだけの)今の少し先。単一中国が軋み始めた頃」というイメージで、パックス・アメリカーナ以外の激変21世紀に繋がるわけもないんですが。

「富士学校まめたん研究分室」で語られる世界情勢も(やや悪夢寄りですが)我々の認識の延長線上であり、そう劇的な違いはなさそう。

この「まめたん」、自動兵器の開発物語なんですが、主人公の理系30女が危機(外国軍隊による襲撃)にあたり、躊躇なく試作まめたんを起動して「殺しに行く」くだりが非常に好きだったりします(^_^;)

はるカナの新田良造が、マジオペの新田良太が、ずっと苦悩し続ける「人殺し」の境界線を、彼女は(愛ゆえに:^^;)あっさり踏み越える。そこにシビれる憧れる(ぉ