自作9s 13-32Tカセットスプロケット
通勤超特急Bianchi LUPO-D号のRDをRD-3500-SSに交換したのを機に、3年半ほど使ってきたギア比=9sカセットスプロケットを見直す事にしました。
LUPO-D号完成車を購入したとき、LUPO-D号の駆動系はこのようになっていました。
2009年06月
・クランクセット FSA Gossamer MegaExo 50/34
・カセットスプロケット CS-HG50-9 13-25T
・タイヤ Vittoria RANDONNEUR 700x32C
最初に問題となったのは「車体も搭乗者も重いのに、ファイナルローのギア比が高すぎて登坂が困難」という問題で、ダンシング等で無理するとヒザがヤバい→1年ほどでギア比低下を目的としたカセットスプロケットの組み替えが行われます。
2010年04月
・クランクセット FSA Gossamer MegaExo 50/34
・カセットスプロケット 自作 13-28T
・タイヤ Schwalbe Marathon 700x32C
この「13-28T」は、元のCS-HG50-9にLXの28Tギア
CS-HG70-9 (ar) 28Tギア (シマノ)
を追加したもので、わずか数百円の投資ながら効果抜群でした。ワタシが未だに故障なく無事自転車に乗れてる(そして割と気軽に三秋峠や犬寄峠を越えられるようになった)のは、この判断に依る所が非常に大きい。
元々のBianchi LUPOはフロントトリプル(50/39/30T)のシクロクロス車だったのですが、限定車LUPO-Dだけは追加装備による重量増加にも関らずフロントコンパクトダブル(50/34T)の軽量ロード車同等構成とされ、車体重量とギア比がミスマッチな感じだったのです。
LUPO-Dはフロントダブル+ショートケージRDで変速性能は相対的に高かった(そして、制動力も大きく、楽しく安全に走れる)んだけど、15kgを越える(スタンドとキャリアを装着した通勤仕様では18kgに達する:^^;)重量級の車体で山を登るのは難易度が高かった。
市販状態でのファイナルローギア比
LUPO 1.20(30x25T)
LUPO-D 1.36(34x25T)
という差があったのを、LUPO-Dのリア28T化で1.21(34x28T)と、ほぼ同じに出来ました(^_^)
当時使っていたRD(TIAGRA/シマノ RD-4500-SS)ではこれ以上大きなギアを入れられない(最大27TのRDに無理矢理28Tを入れてた)こともあり、カセットスプロケットはこの構成のまま3年以上使われる事になります。
2010年末、FSAのクランクセットを踏み壊してしまったワタシは、LUPO-D号のクランクセットをシマノ化します。
2011年01月
・クランクセット シマノ FC-4550 50/34
・カセットスプロケット 自作 13-28T
・タイヤ Schwalbe Marathon 700x28C
この時点でLUPO-D号の基本形態が決定し、消耗品を替えつつ以後2年半ほどこのまま。
で、この度ボトルネックとなっていたRDをSORA化してRD-3500-SS(最大32T)に更新したことで、カセットスプロケットの上限が変わった→再びギア比について考えます。
スーパーローとなる34x28Tの存在はワタシの行動範囲を劇的に拡げてくれましたが、それも平均斜度5%前後までで、
「8%を越える斜度が長く続くと登坂不可能」
というのが正直な実感。高斜度部分が短距離ならば「踏み込み」でなんとか出来ても、出力を上げる=過荷重状態を長時間続けてヒザ関節を圧迫する事を、ヒザ関節の現状が許さない。パワーが余ってても、伝達出来ない。
つまり、何らかの対策を行わない限り、この自転車で障子山とか石鎚スカイラインは昇れない。おそらく三坂峠や高縄山も。
ヒザ関節に無理をさせられないのは、かつて無理をして既に壊しているから。登坂能力が低いのは出力体重比が劣悪なせいで、出力体重比が劣悪なのは出力に対して体重が過大だから(そして体重が過大なのは、体格に比して大瞬発力と防御力を要求した為)
できれば健康と登坂能力向上のため長距離走行(=長時間有酸素運動)で体重を絞り込みたいのだけれど、山がちな四国での長距離進出は大抵峠を超えねばならず、峠を越える能力が低いと進出可能な方面と距離が極めて限られるという堂々巡り(^_^;)
「とりあえず、ヒザに掛かる荷重を減らすしか、ない」
というのが結論で、4年半前のLUPO-D号導入時と比べ、9sSORAのラインナップが大幅に増え
問題は、32TギアがLX 28Tギアの様に1枚単位で売られてない(=スプロケットがバラせない。まとめ売りオンリー)ということですが、かしめて一体化されているギアも、かしめピンを打ち抜いてやれば割と簡単にバラせそうということで、32Tの付いた9sカセットスプロケットを丸ごと発注。
Sprocket Sizes 11-12-14-16-18-21-24-28-32
このグレードのスプロケは「スパイダーアーム No」なので、単体ギアをかしめて束ねる構成。これ1つバラせば28Tと32Tが両方取れるので、費用対効果まぁまぁ。
スプロケの材質は「スチール」で、表面処理は「ショットニッケル」。あんまり聞かない処理名ですが、実物は「ざらざらした銀色」なので、ショットブラスト処理後ニッケルメッキの略…なのかな?
リューターで、一体化されているロー側ギアをかしめているアルミピンのアタマを削り取り、
ピンポンチで打ち抜けば、簡単にバラせました(^o^)
バラしたスプロケの中から出て来たのは、変わった形のプラ間座。大径ギアが内側に倒れて歪むのを防止するためと思われる、放射状の角が生えてます。
その姿は「もやしもん」のオリゼーそっくりで、ちょっと可愛い(笑)
こうした異型間座が無い場合、プラスチック円形間座(Y35764251)だと応力で割れた→金属製間座(Y10P02000)を使っとく方が無難そうです。同じ金属製9s間座でも、より高グレードなY10R03000は肉抜きが多く強度が低そうなのでお勧め出来ない。
32T異常にデカいです(笑) お友達には「コンパクトクランクでリア32Tとか…」とか絶句されましたが、LUPO-D号は鉄の固まりでロードバイクとは違う→車体も搭乗者も重量級で、無理してヒザを壊す方が数段ヤバいのでまったく気にしません。
このスプロケットは大きな鉄の固まりで重量もなかなかですが、背に腹はかえられない。軽量なスパイダーアーム式のスプロケットでは組み替え出来ないので。
自作13-32Tカセットスプロケットは
13-16-17-19-21-23-25-28-32T
平地用21Tを中心に2T刻みで、登坂用スーパーロー28Tと保険の32Tを追加した構成。代償として、トップ13Tが16Tから-3Tとか、いきなり二割以上重くなります→差が大きすぎて実質踏めない。ツバ付き13Tは外せないから付いてるだけで、16Tトップの8速構成に近い。
試験的に暫くCS-HG50-9 11-30T(これはSORA扱いで安い)を付けて走ってみましたが、
11-12-14-16-18-20-23-26-30T
20-23T間が離れてるのが使いにくかったです(^_^;) 50x30Tで発進ラクラク(発進加速はロードバイクよりも速い)ですが、平地〜緩傾斜で23Tだと軽すぎる→重めの20Tで長く頑張る展開になりがちで、負荷が掛かってヒザに良くない。
しかしこの11-30Tスプロケ、トップ11Tがツバ付きなのはいいとして、隣の12Tと嵌合するよう1mmほど間座相当部が長い→相当部分が凹になってる対の12Tを抜いたら幅が合わない構造になってるのは驚いた。狙いは剛性向上か、組み替え防止か…。
9sカセットニコイチ方式はリューターを持ち出さなきゃいけない等手間が掛かりコスト的にもやや高くつきますが、それでも高グレードのスプロケに比べればまだ安いし、好きなギア比を選べるのでそう悪くもないかと。
たぶん、11速あればこんな悩みは要らないんだけどね(^^;;
今回の32T化工事により、通勤超特急LUPO-D号ファイナルローギア比は
1.06(34x32T)
と、かなり劇的に低下。そして、この単体32T化により深刻なダメージがフリーボディに蓄積される事が予想されたので、交換用フリーボディとカセット固定ボルトを更に追加発注→在庫。
「しない」という選択肢はない(もうやっちゃった:^^;)ので、「無理が掛かって壊れた時用の交換部品を予め多めに用意しておく」方針で対応。