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修正報告 銀河ツンデレ伝説 (二見ブルーベリー)
修正報告
銀河ツンデレ伝説
初の長編小説。イラストは上連雀三平先生!
二見書房 630円
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    2012年03月22日

    こどもの隠れ家、秘密基地、“ぼくたち・わたしたちだけの遊び場”についてのメモ(スマイルプリキュア第7話に寄せて)

    [ anime ]

    【このエントリを簡単にまとめると】
    ・スマイルプリキュアのシリーズ序盤は、みゆきたちがプリキュアである自分たちを手作りしていく流れが児童的な遊び心に接近していてわくわくさせてくる
    ・そうした遊びの空間を支える枠組みとして、外から邪魔されない秘密基地を手に入れるエピソードが良く働いている
    ・秘密基地は子供の精神的な別荘であり、そこへ行って帰ってくる往復が楽しみの上でも心の発達のうえでも重要なポイントになる。




    ◆プリキュアを手作りする子供としてのみゆきたち


    まずスマイルプリキュア第7話感想。

    歴代プリキュアでは、それぞれに溜まり場があって空間フェチ的にたまらないものがありました。
    初代はタコカフェの屋台、SSはパン屋さん店外の飲食スペース、YP5はアクセサリーショップ、フレッシュはドーナツ屋台とダンスの練習場、ハートキャッチはファッション部の部室と植物園の一角、スイートは音楽講堂……。

    ただし基本的にはどれも、オトナの空間を間借りしているものだったんですよね。
    5のナッツハウスとハトの植物園は内輪の空気が濃い場所ですが、それでもお客さんの出入りがありましたし。
    何より、そこは何となしに集まる溜まり場で、「ここにしよう、ここじゃないといけない!」というはっきりした意識で空間がつくられたのはスマイルが初めてといえるように思います。

    それにあたり、以前のエピソードで、学校のあずまやを使っていたら上級生に追い出されそうになる状況を描いていたのも前ふりとして良かった。第7話の単発じゃなくて、シリーズの構成としてみゆきたちが秘密基地にいきつく流れというのが意識して描かれてあるのが分かります。

    その流れ、というのは秘密基地探しだけではありません。
    仲間の勧誘のしかた、決め台詞の検討、あまつさえタイトルの「スマイル」という冠まで自分で考え出したりと、今期はとにかく、主人公たち自らによってプリキュアとしての自分たちを手作りしていく感が強い仕立てになっています。
    プリキュアがそもそも何をすべき存在なのかよく分からない時点で「スーパーヒーロー」への憧れによりそれっぽいポーズをなぞってみるなど、普通の子供たちによる遊び心が強調されている。
    歴代シリーズ、とくに初代のように、それぞれ特別さの強い子供たちが運命的に引き合わされ、いろいろと前提をインストールされた状態で非日常に身を投じていくセットアップとは対称的といえるかもしれません。

    歴代プリキュアは日常と非日常をせめぎあわせて、日常を優位に置く形でした。
    しかしスマイルの、少なくとも序盤では、非日常を遊ぶ姿が描かれています。視聴者の幼児に対して、年齢設定では中学生のお姉さんたちではあるが、実質的には児童を主人公にしたファンタジーに近くなっている、というような見方ができます。

    プリキュアとなる運命の特別さと、“それ”を遊ぶ普通の子供らしさ。
    スマイルプリキュアの、歴代に対しての特徴というのはそこらへんにあるのかもしれません。シリーズが後半になるにつれてシリアスな成長をとげてはいくのでしょうけれど、出発点をこういうふうにしているってのは、すごく印象に残ります。

    --------------------
    ◆子供の“秘密基地”空間の性質

    では、そもそも、そうしたファンタジーを遊ぶための空間を支える秘密基地、隠れ家、秘密の場所etc...とはいったいどのようなものでしょうか。
    具体的な表現としては、我々も知るたくさんのフィクション作品にそれは登場しています。

    世界名作劇場・完結版 トム・ソーヤーの冒険 [DVD]ハックルベリー・フィンの冒険 下 (岩波文庫 赤 311-6)ブロマイド写真★『スタンド・バイ・ミー』森の中の4人/ウィル・ウィートン、リバー・フェニックス、、ジェリー・オコネル、コリー・フェルドマン

    トム・ソーヤー、ハックルベリー・フィン、映画ならスタンド・バイ・ミーその他もろもろ、ことにアメリカ文芸では子供の隠れ家は物語展開上でもひとつの拠点としてよく出てきますね。

    日本なら、おなじみドラえもんの数々の「ここに僕たちだけの●●を作ろう!」という秘密の場所系エピソードが欠かせません。むしろドラえもんに影響されて秘密基地を作ろうとした子供時代におぼえのある人も、ある世代(今もかなあ?)ではかなりいるのではないでしょうか。
    僕は大長編なら『竜の騎士』『日本誕生』あたりが大好き。
    本編だとてんとう虫コミックス20巻に収録されてる「設計紙で秘密基地を!」というエピソードが傑作です。
    手描きの設計図をインプットするとじっさいに秘密基地として地下に作ってくれる道具が出てきます。


    のび太がジャイアンたちに自分の見つけた秘密基地用のほら穴を横取りされるところから始まるのが素晴らしい。

    他にキッズものだと、例えば近年なら『とっとこハム太郎』のハムちゃんずが集う地下ハウスや、『ケロロ軍曹』の基地も、子供の遊び心に訴求する<秘密基地>ですよね。ケロロ軍曹の場合は、軍事の秘密基地である事と<秘密基地ごっこ>である事がモチーフとしてクロスカウンターしているところが面白みです。

    とっとこハム太郎 地下ハウス HC-101ケロロ軍曹 帰ってきた! ケロン軍 脅威のメカニズムであります BOX (食玩)

    [リンク] ケロロ軍曹の秘密基地へようこそであります!

    これらで描かれるこどもによる手作りの秘密基地、隠れ家などのシークレットスペースは人目(とくにオトナの規定的なまなざし)をさえぎる結界の中で子供の内的精神を具象化する空間です。

    それはいわば「精神的な別荘」「心理的サマーハウス」とでも呼べるようなものを手作りする営み。
    天然でおこなわれる箱庭療法の箱庭、という言い方もできるかな。

    秘密基地は、ただ静的に「ある」ことよりも、動的に「つくられる」性質のほうに意味があります。
    秘密の場所を作って完成ではなく、その中でおこなわれる遊びという運動、そこへ入ってまた出てくるという運動によってつねに生成され続け、終わりの時が訪れるまで動いてやみません。

    その空間では、大人から秩序づけられる子供であることからは解放されます。
    ただし、何者でもなくなるのではありません。(ごっこ遊びなどによって)むしろ「みずから何者かを演じてそれらしくふるまう」役割論、上演論的な場の性質がきわめて強化されるのです。
    役割上の力関係においては、そこにいる子供たちの年齢の上下関係まで入れ替えられることなんてのもしばしばあるんですよね。

    そうやって、役割を定めて何者かとしてふるまう上演論的空間で、子供は「俳優」「作家」「観客」であることを同時に機能します。
    ただし複数の子供で作り出される秘密基地の場合では、役割が分化したり持ち回りで交換したりされることもある。

    さて、「空間を手作りする」と何度も書きましたが、作るには材料が必要。
    秘密基地あそびの材料は多くの場合、日常現実世界から小道具が持ち寄られ、現実よりも大げさな役割、または現実とは別の役割を与えられます。物にも何かを上演させる空間なんですね。

    場所作りにあたっては「囲いを作るor囲われている場所を見つける」「腰をおろせる場所にすること」という住居形成の基本が最小必要条件になるかと思います。

    スマイルプリキュア7話で感心したのもそこで、ふしぎ図書館を秘密基地に決めて終わりではなく、そこから、みんなで腰を降ろせる場所がないのはなんとかしないといけないね、というところまで描いてるんですよね。
    5人できのこにぎゅうづめに座ってやよいが転げ落ちるシーンはコミカルで笑えますが、同時に、秘密基地を秘密基地として落ち着かせるプロセスとしてなかなかうまい段取りでした。

    スマプリでは贅沢なファンタジーとして、デコルの力で樹木のハウスが出来ましたが、じっさいの秘密基地ごっこでは、子供が結界をはったなかに敷き物や椅子が一つ運び込まれるだけで「基地」としての楽しみがじゅうぶんに始まります。

    あとはちょっとした飲みもの食べものがあればもう完璧ですね!

    -----------------------
    ◆「秘密」の人称

    さて、先にちょっと触れてますが、秘密基地あそびの「秘密」にも、それを遊ぶ子供が一人か複数かでニュアンスがあります。

    一人にとっての秘密基地の「秘密」は「オトナのまなざしを排除した子供個人の心の中の秘密」。
    複数人で生成する秘密基地なら「私たちの共有する」に重点がかかった「秘密」。

    おおざっぱにいうとそんな感じですね。
    複数の子供たちの間での共有を旨とした秘密基地では、オトナだけではなく「約束の外にいる他の子供たち」も排除の対象になります(そして、しばしばそこで侵略戦、防衛戦が勃発したりするわけです)

    フィクションの共有というのは本や映像といった受動的コンテンツの取り回しに限らず、自分たちで生成する空間によっても行われるということを子供の秘密基地は示します。

    そういえば、スマプリ7話って、5人それぞれの「自分にとっての秘密基地のヴィジョン」が、「自分たちにとっての秘密の場所のかたち」へと統合される人称変化のドラマなんですよね。

    --------------------
    ◆秘密基地によるハック

    ところで、秘密の場所を生み出すためには結界を張らなくてはなりません。
    それは、山や森林の奥など物理的にオトナの目の届きにくい場所を設定するというだけではなく、たとえば家の中で、家族に見え見えな場所でも、布一枚、ダンボール一枚使った仕切りによっても生じさせることができます。

    ようは、心理的に「外のまなざしをさえぎった、ということにした」設定の感覚が生まれさえすれば秘密の場所は成立するんですね。
    その場合、逆にオトナを秘密の場所の上演性に従わせようとすることまであります。「ここは秘密基地だから入ってはダメ」「秘密基地だから見えないことにして」というような要求をするところを思い浮かべてみてください。

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    ◆女の子主人公による“秘密の場所”のドラマ
    赤毛のアン VOL.2 [DVD]マイマイ新子と千年の魔法 オリジナル・サウンドトラック

    今回、分かりやすいので「秘密基地」というフレーズを中心にしていますが、これだと男児文化に寄せすぎてしまうので適切ではないところがあるかもしれません。
    「現実のなかに結界を張ってこどもたちが秩序を生成するファンタジー世界」というとらえかたにおいて、女の子ももちろん主人公になります。

    フィクション作品でいえば、古典的なところでは、みゆきちゃんが引用した『赤毛のアン』のアンとダイアナの秘密の場所、タイトルもずばりな『秘密の花園』あたりがぱっと出てきますね。
    日本だと最近のアニメでは劇場公開アニメ『マイマイ新子と千年の魔法』が子供たちの手作りダムが展開の大きな柱になっていました。

    あとは……そうそう、僕はあいにく未見なのですが、映画にもなった西原理恵子の『女の子ものがたり』が、たしかその筋で見られる要素があったと聞きました。女の子三人組が秘密基地にしてた掘っ立て小屋の壁にペイントするんでしたっけ?

    そして、スマイルプリキュアの第7話もこれらにつらなるという次第。
    (スマプリではフレーズとして「秘密基地」というのを明言したのが面白いですね。基地、というのはやよいちゃんが言い出したあたり、彼女のスーパーヒーロー趣味が伺えて筋が通ってる(笑))

    ------------
    ◆「行きて帰りし」ファンタジーの反復による成長(の自己上演)
    TVアニメ ジュエルペット てぃんくる☆ ファンディスク [DVD]ひみつの階段 1 (PIANISSIMO COMICS)

    さて、始まりあれば終わりもあるもの。
    秘密基地あそびには、ふつう否応なしに「おうちに帰らなければならない時間」がついてきます。これはたいへん重要なポイントです。
    ファンタジーへ行きっぱなしの“やすらぎの館”にはならず、漫画『ひみつの階段』で示されるニュアンスにおけるティル・ナ・ノーグ的なものとして、秘密基地はつねにファンタジーと現実とを往復することを前提としています。
    また、往復すること自体も秘密基地ごっこの快楽になりうるんですよね。
    そして往復の最後は、あそびへの飽きやオトナになることによる卒業という形で、空間の解消(もしくは自然消滅)と現実への帰還が待っています。
    まあ、たいがいはその先にまた年相応の新しいファンタジーが生成されるので終わりっぱなしにもならず、ぐるぐる巡っていくわけですけども。

    ※やすらぎの館的なもの/ティル・ナ・ノーグ的なものの対比については以下のリンクを参照。
    紺野キタ『ひみつの階段 新装版』全2巻 - ピアノ・ファイア

    『ひみつの階段』表題作のシリーズは、ある学園の寄宿舎に点在する時空間の接合点をあつかったファンタジーで、いろんな時代の女生徒たちが、時の狭間にあるひとつの部屋で顔を合わせてお茶を飲みかわし交流し、また自分達の生きる時間へ戻っていくという味の深い図を見せてくれます。
    直接に“秘密基地”ものというわけではありませんが、それを考える上でひじょうに重要な参照ができる作品なので興味がおありのかたはぜひご一読ください。

    秘密基地、それは現実の土台に召喚された局所的なファンタジー世界。現界するティル・ナ・ノーグ。
    「行きて帰りし」物語を子供が自分達のからだで上演し、フィクション−現実を相補させて生きる心の力を発達させる効果があるものです。

    これは、逆に考えてみても面白いかもしれません。
    つまり、ファンタジー作品で描かれる異世界と現実の往還を、秘密基地あそびに相当するものとしてとらえることもできます。
    近年では『ジュエルペットてぃんくる』がその点で優れた空間性をもっていました。ルビーの「あかりちゃん、ジュエルランドへ行こうよ!」は秘密基地でともだちと落ち合う誘い文句として魅惑的に響きます。

    -----------------
    ◆秘密基地の継承

    多くのファンタジー作品がそうであるように、子供は現実に生成した秘密基地のファンタジー空間からもいずれは卒業します。
    しかしその子が卒業しても、空間が遺され、別の子供に継承される場合もあるというのは付け加えておきたいところ。
    意図的に継承させなくても、時間を置いて別の子供たちがその場所を見つけて結果的に継承がおこなわれることもありますよね。スマイルプリキュア7話ではそれも描かれていました。

    てなわけで、自分たちだけの、生まれたてホヤホヤの秘密基地を持ったみゆきちゃんたちがどんな「プリキュアである自分たち」を遊んでいくのか興味をもって、シリーズを見ていきたいと思います。ひとまずおしまい。




    【余談その1】 学生やオトナの“半・秘密基地”としての溜まり場描写

    ……と、以上で、子供の秘密基地あそびについてひとしきり述べてみましたが、せっかくなのでもう少し枝を伸ばしておきます。
    ひとつは、もっと年齢の高い層にとっての“秘密基地のような面もある空間”について。

    高校や大学を舞台にした作品でも、オトナの介入や日常社会とラインをつなぎながらも心理的な結界をもうけた<半・秘密基地>としての溜まり場ってのは描かれますよね。
    例えば、部活ものの部室だとか、不良もので一団の集会所になる溜まり場だとか。
    部室へ大量にもちこまれた私物、屋上や不使用教室や廃ビルの一角へ勝手に持ち込まれたソファや卓などなどはまさしく秘密基地に通じる空間を生み出します。

    不良×秘密基地という組み合わせで思い浮かぶのは、田中宏『バッドボーイズ』外伝『KIPPO』という漫画の第1話。

    すさみまくった精神状態に陥っている不良少年が、不良仲間と秘密基地のような場所を作ったのをきっかけに心の支えを得て、やがてその場所を外部からやってきた大勢の人々と共有するにいたるまでの経緯をさらりと描いたエピソードになっています。

    部活ものなら、けいおんアニメ版の部室のレイアウトって良いですよね。
    校舎をずいっと進んでいってさらに階段を上がった先の奥まった位置に部室があり、中に入ればひとつドンと鎮座している長椅子、それを挟んだ向こう側にセットされているお茶用のテーブル……この部屋模様がいい感じの秘密基地感をかもし出しています。あのカエルの置き物も、手づくられた空間の趣に一役買ってます。

    けいおん!!(第2期) 1 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]究極超人あ~る (1) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

    あと、僕の世代的にはやはり『究極超人あ〜る』の光画部の部室も“そういうもの”として忘れがたい(笑)

    ほかには、さきに挙げた『ひみつの階段』のように、学生寮を舞台にした作品は秘密基地的な空間が生成されやすいように思います。
    寮じゃないけど『マリア様がみてる』の「薔薇の館」なんかも空間フェチに訴えてくる“そういうもの”感ありますよね。

    さらに上の社会へあがると、たとえば「会社もので社員がダベっている給湯室」だとか「刑事ドラマで刑事たちが私事まじりの会話をする自販機前の休憩所」というようなのも、日常の隙間にオトナ版のミクロな秘密基地めいた空間を生成する構図といえる、かもしれません。
    そこまでいくともう8割がた社会性の色に塗りこめられてますけど、「精神的な別荘」が立ち上がっているという見方ではそう外れてもいないかなと。

    -----------
    【余談その2】怪物の母胎としての秘密基地
    20世紀少年―本格科学冒険漫画 (21) (ビッグコミックス)ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

    今回のエントリでは、基本的には秘密基地あそびをポジティブな観点や効果から説明してみましたが、クローズドであるがゆえのおそろしさというのも、少なくともフィクション作品においては描かれうるものです。

    子供の心の王国である秘密基地においては子供たちのあいだの力関係や役割の序列がエスカレートしやすく、その役割のひずみからイジメや暴力に通じる暗黒なファンタジーが上演される可能性もある。
    それを題材にしたもので有名なのは浦沢直樹『20世紀少年』、あと古屋兎丸『ライチ光クラブ』などですね。

    子供がきれいなばかりの生き物ではないように、その手で生成される空間もまた光と闇の両方をはらんで渾沌とします。でもそれが悪いわけじゃない。渾沌としているからこそ、動きがあって、生命力がある。何かをしようというエネルギーがそこにある。渾沌としているからこそです。

    大人になると我々はそれを忘れて、つい「童心を取り戻す」ということをきらきらと綺麗で純真なものだけ回復させることのようにイメージしがちです。
    でも、本当に取り戻さないといけない童心というのがあるのならば、それは実際ひどくグチャグチャとしておっかない、きれいできたないからすごいものなのだ、というのを肝に銘じておきたいですね。

    それを想起するうえで、秘密基地あそびが怪物を生み出す物語というのはひとつの役割をそなえているように思います。




    【参考リンク】
    子どもと秘密基地−子ども文化的視点から−

    コメント

    「ぼくのかんがえたひみつきち」的には、ライジンオー、ガンバルガー、ゴウザウラーのエルドランシリーズは忘れたくないかな。
    あの「一番ありえねー!」な設定が素敵です。

    あれ?そういえばガンバルガーは基地はどうなってたっけ?

    Posted by: 名無しさん: 2012年03月23日 00:48

    ハックの樹の上の小屋はガチ実用なんだよな。呑んだくれの暴力親父から逃げるために一人暮らしをしてる。トムにとっては別荘であるだろう。きっと読者である子供にとっても。
    作者が大人目線で理屈を付けただけで、生きている木に引っ掛かった小屋っていいよなーという感情だけで作中に出したんだろうから(知らんけど)、親父関連は瑣末な話でしょう。

    大人の秘密基地としては会社と自宅の間に寄る赤提灯。会社員の役割も父親や夫の顔も被る必要がない場所。
    日常は「自分が何者かを決めるのは、自分ではなく、目の前のだれか」という状況の連続なので「誰でもない人」になれる空間は欲しいところです。

    スマプリの今後ありそうな展開としては
    初めてのお客様 招かれざる客(でも、いい人なので笑顔でお見送り) 場所を破壊する侵略者 新しい仲間

    人称変化のドラマというと最近では
    僕は友達が少ない→
    僕達は友達が少ない
    が決まってたな。

    Posted by: 名無しさん: 2012年03月23日 04:21

    「おっかない秘密基地」ですと、『まどか☆マギカ』に登場する魔女とそれが作る結界でしょうか。
    あの、現実世界の認識がカリカチュアされたイヌカレー空間は、ごっこ遊びが秘めている(良くも悪くも)大きなパワーを感じさせますね。

    Posted by: 名無しさん: 2012年03月23日 22:46

    いまの漫画でいうとワンピースの一味の海賊船もあたりも秘密基地のカテゴリーに
    はいるんじゃないかと。
    コミックスでも内部を事細かに紹介してましたし。

    Posted by: 名無しさん: 2012年03月25日 23:30

    >>名無しさん: 2012年03月23日 00:48
    たしかガンバルガーは街そのものが発進基地のような設定でしたね。三部作のうちではいろいろ異色な作品でした。


    >>名無しさん: 2012年03月23日 04:21
    ライトノベルの部活ものって、秘密基地センスに響く部室設定のあるヒット作がちらほらありますねえ。

    >>名無しさん: 2012年03月23日 22:46
    心の結界の中でしたしねえ……

    >>名無しさん: 2012年03月25日 23:30
    ああいう、アジトの内部を見せる図解ってわくわくします。
    例えばシルバニアファミリーとかこえだちゃんとかみたいなハウスもの玩具と同じで、空間と構造そのものが楽しいんだという経験から子供の秘密基地センスを培う機会になるものだと思います。

    Posted by: みやも(管理人): 2012年03月26日 00:26

    我々の部屋も、同じ趣味の人間には見せられても、親兄弟にはとても見せられないものがてんこ盛りと言う意味では秘密基地と言えなくもないですな!

    Posted by: 名無しさん: 2012年03月27日 23:18

    >>名無しさん
    ああ、そこはじっさい真面目な話で、個室と秘密基地の対応関係がどうなのかってのは考えてみたいですね。
    自分の部屋をもってない子供だとよけいに自分のフィールドを作りたい欲は沸きやすいでしょうし。

    Posted by: みやも(管理人): 2012年03月30日 05:35

    女の子のおままごと遊びを見ていると、広い部屋の端っこで、いろんな物を並べて、間仕切りみたいにしている様にも見えるんですよね。

    だから、その間仕切りを跨ぐ前に、「入っていいかい?」と聞くと「いらっしゃい」と応えてくれるのが微笑ましいです。

    これも彼女にとっては、秘密基地に迎え入れたとも言えるのかなぁとも、思えました。

    やがて、自分専用の鍵付の部屋を望むようになり、簡単にその「秘密基地」に入れてくれなくなるのかもしれません。

    Posted by: 柴里美: 2012年04月04日 09:46

    >>柴里美さん
    娘さんをもってるお父さんは物理的にも心理的にもそういう道をたどらないといけないんですねー

    Posted by: みやも(管理人): 2012年04月04日 13:45
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