映画『デトロイト・メタル・シティ』を観てきました。(公式サイト)
映画は「天才が己の本然を受け止めてヒーロー(人に夢を与える存在)になるお話」という面をとくに強調。おもろかったです。
根岸/クラウザーさんのギャップ問題に、例えばバットマンを連想するのはそう見当違いでもないと思う。
ある時期以降、バットマンでは
「ブルース・ウェインという人間が恐ろしいバットマンに扮装しているのではなく、バットマンという恐ろしい本質がブルース・ウェインという人間を装っているのだ」
というのが構造上の要点になっているのと同じく、クラウザーさんこそが根岸くんの内にある天与の本然で、<根岸くん>はそこから遠ざかろうとする人為の志向なんですね。
だから、根岸くんはたしかに<可哀想なやつ>ではあるんですが、話が進むうちに<可哀想>の意味合いがだんだん変わってくるんですよね。映画でも原作でも。
最初のうちは、
「やりたくもないデスメタルを強制されてクラウザーという虚像を無理に演じなければならない根岸くんが可哀想」
なんだけど、話が進むにつれて
「デスメタルの天性があるのに、それを頑なに否認するばっかりに生きづらい思いをしなければならない根岸くんが可哀想」
になっていく流れ。
映画の方はその<可哀想>を乗り越えて根岸とクラウザーが統合されるところまで描いており、原作が続いてるのにここまでしっかり結論を出しちゃってええのんかとヒヤヒヤするくらい(笑)
とりわけ、デスレコーズの社長が根岸くんの最大の理解者として発言するシーンが挟まれているところに、スタッフの分かりすぎてる感がにじみ出ています。
社長はただ単に根岸くんを抑圧する横暴な権力者なのではなく、クラウザーさんというヒーローに夢を託した"大衆の代表者"でもあるのです。映画の方の演出ではね。
![]() | デトロイト・メタル・シティ 1 (1) (ジェッツコミックス) 若杉 公徳 by G-Tools |
![]() | バットマン ビギンズ クリストファー・ノーラン ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-07-09 売り上げランキング : 580 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
そういえば「仮面ライダー 誕生 1971」では、本郷猛が「いまとなっては、この仮面が俺の顔だ」としゃべるシーンがありましたっけ。
本郷猛の場合は、望まぬ形で仮面ライダーになったのだが、仮面ライダーであることのほうが彼自身の主体となってしまってますからね。
「誕生 1971」は、コミックヒーローをリアルよりに引っ張ってきた作品として、ダークナイト見た後に比べて読んだりしてます。
Posted by: yocc: 2008年09月02日 12:38これ原作を読もうかどうか迷っていたのですが「よくアイドルや漫画家の物語で、自分の好きなようにやるか。売れることを第一目的として活動するか悩む」
みたいな話はあるのですが、これはすでにデスメタルで不動の人気と才能を手に入れているあたり、違うジャンルの話なのですね。
俄然興味がわいてきましたよ。
しかし、こういった物語の構造をしっかりと理解して、文章に簡潔にまとめられるあたり、さすがに管理人さんは只者じゃないですね。
と、思ってふと、横を見ると「おすすめエロゲ」のトップに「どっぷり中だし学園戦争」
なるほど、たしかに只者ではなさそうだ。
>yoccさん
>いまとなっては、この仮面が俺の顔だ
うおお、泣ける台詞ですね〜
どんな理不尽におしつけられた運命であっても、背負った時からそれが己の本質になってしまうということはヒーロー物の根幹にありますよね。
>名無しさん: 2008年09月02日 14:23
ジャンル的に理解しようとすると、やっぱり変身ヒーロー物における「ヒーローの正体としての自分」の問題が一番参考になると思います。
何がやりたいか、じゃなくて何をやるべきか・やらねばならないか…のお話になってますからね、少なくとも映画の方は。
>おすすめエロゲ
エロゲとかエロマンガのおすすめ欄は自分の性的な趣味を自爆させてしまうのでお恥ずかしいったらありゃしない(笑)