『劇場版NARUTO疾風伝 絆』を観てまいりました。
いつも通り「良くも悪くも」と枕がつくジャンプアニメの劇場版クオリティではあるんですが、テーマ的に琴線に触れるものがあって、楽しめました。
本作の核となるスジは、
「かつて自分を救い、善き教えを施してくれた憧れの人が、じつは悪意にまみれたゲスな外道で小悪党で自分をていよく欺いていただけだったと分かったとき、誤解にもとづいていた好意と敬意はどこへ向かうべきか」
という次第で、よーするに幻滅が生む負の感情をいかに処するかという、突き詰めるとひじょーにヘビーでめんどくさいトピックに、少年漫画らしい愚直な(だから美しくもある)語り口で取り組んでいるんですな。
本作のゲストキャラの場合、ナルトの励ましによって「師匠の悪しき実体と意図」への憎しみをパージして、「師匠の教え」のみをうまく(再)内面化して救われました。ここがよかった。
実体に抱いていた幻想は破られた、つまり幻滅した。
しかし、幻が消えたがゆえにこそ際立つ「受け取ったそのもの」の真実というものがある。
人から人へ伝わるものというのは、当初の発信者に悪意があっても、たとえハッタリで発せられた言葉であっても、その一個人の意図を超えて善きものが効果する奇跡のような瞬間があって、さいわいにしてフィクション物語というのはその奇跡を何度も何度も我々に見せてくれることができます。
これは師弟だけでなくラブロマンスでも主従関係でも何でも、とにかく「憧れ」が介在する成長物語には広く敷衍される論点ではないでしょうか。
グレンラガンでいえばカミナの実体とシモンに残った真実は、という話とかね。
なお、幻滅することから徹底的に逃げたらどーなるかというのは『スクールデイズ』を参照のこと(笑)
じっさい今回のナルトでも、敵にしてみると最終的にゲストキャラがヤンデレ化するのが一番都合のいい展開だったんだけど、まあナルトがついてる以上そうは問屋がおろしませんよと。そういう話だった。
んでもって、ゲストキャラを通して憧れの対象の実体への幻滅と真実の再構成が描かれる一方で、ナルトの師匠ジライヤはラストぎりぎりまでずっと登場しないまま、かつてジライヤが口にした言葉がナルトの中で響いて、精神的な支えになるんだよね。
それは、すでに実体と真実のパージがすんでいる"出来上がった関係"で、原作のいまの状況を考えると、その先にある物理的なお別れがほのめかされているようでちょっと切なくなった。
まあさらにつっこむとナルトはナルトで「自分の中のサスケ」に実対象をどこまで引き戻せるかでずーっと悶着している難儀なコンディションを抱えてはいるんだけど、そこは今後の原作の問題ということで今回は割愛。
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