フィクション作品において、思想の評価というのはなかなかの厄介物ではある。
・作者の思想
・キャラクターの思想
・作品の思想
これらは実のところそれぞれまったく別物で、当然どれかひとつについての評価をもって他のものへの評価がそのまま規定できるわけではないのに、実際には我々は往々にしてそこに分別をきかせづらい。
いわく「このキャラクターがこんな思想を表明した。作者はそういう考えの持ち主なのだ」
しかし作家は批判されるべきものとしてキャラクターに特定の思想をもたせることができるし、作者の信条から外れていてもより大きな何事かを描き出すためにあえて己とズレのある思想をシミュレーションすることもできるし、あるいはただ単純にそういう思想をもっているという設定自体を目的として思想をもたせることもできるのであって、なるほど作者が演出に介在する以上キャラクターのメンタリティが作者と無関係ではないにせよ、いつもまったく相似的に作者=キャラクターを同一視してそのアタマの中をのぞきこんだつもりになっていいわけではないのである。
区別をつけた上で関連づける、それならまだいいが、区別の手間を惜しんで短絡的にまるまる重ね合わせることは避けておいたほうが、整理がついて、かつ幅のある見方ができて望ましい。
また、いわく「このキャラクターがこんな思想を表明した。この作品はそういう主義をアピールするためのものなのだ」
しかし個々のキャラクターの思想が相互いにぶつかりあい否定と肯定と照応をせめぎあわせる地層のうえに、作品全体の示す思想のレイヤーが存在しており、その全体はキャラクター個々の思想によって単面で把握することはできないものである。
とりわけ喜劇的なカリカチュアにおいて、キャラクター……それがたとえ主人公であっても個人の思想が作品によって揶揄もしくは否定のまなざしでスポットを当てられる場合があるし、また、キャラクター個人には最後まで答えの出せない思想上の問題の解答を、作品がそのキャラクターの外に暗示するという手法もあり、キャラクターの思想=作品の思想とはならない。
では、限りなく近似値を取りそうな作者の思想と作品の思想はどうか。
いわく「この作品にはこういうテーマが描かれている。作者の思想はもとよりこれなのだ」
しかし、じつはこれも必ず同一視できるものではない。
たとえば作者自身ですら一体どうすればいいのか答えを出しあぐねて話を進めていた思想上の問題を、そこまでに積み上げられたドラマの推移が自然に解答を創発して作者のほうが「ああ、この作品はこういう思想を描いているのか!」と"教えられる"ことがある。そのとき作品は作品の思想を作品自らによって示すのである。そこで一般の考え方とは反対に「作品>作者」のフレームができあがる場合が存在する。
また、作品外のなんらかの原理から、計画的にか結果的にかはともかく、作者の信条から外れた不本意な主題をこめた哀れむべき(しかしケースによっては面白い)作品がつくられることもあるのは諸氏ご存知の通りである。
ことほどさように、作者の思想/キャラクター個々の思想/作品の思想は、それぞれ目先の何らかの部分を反映しあいつつも究極的にはきちんと区別すべきもので、さもなくば白と言っているものを黒だと誤読し、そこに不当な毀誉褒貶を与えるおそれがある。難しいが、重々気をつけておきたいところだ。
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つまり、プリキュアがどんなにいい話だったとしても、製作サイドは「子供だましプギャー!」って思ってるかもしれないから気をつけろ。
重要なのは視聴者がエターナルの現実主義とプリキュアの理想主義のどっちを選ぶか。ということですか?
かれん至上主義でいきたいと思います。
>ということですか?
まあそれはどうか分かりませんが(笑)
そこで製作サイドを非難したからといって作品までいっしょくたに否定しなくてもいいよね、とか、または「作品について作者のいうことが"正解"とは限らない」みたいな話にもっていけますね。
作品と作者を分けて考えられないと
カイジとかシグルイなんてとても読めませんよね。
あんなキチ○イ作家さっさと逮捕しろって話になりますし。
福本先生は初期にわりと明るめの人情噺を描けてた人なので、いまの芸風が先生の全面ではないですよね。
Posted by: みやも(管理人): 2008年06月28日 21:35