公式ブログを追いかけてるべびプリファン諸氏におかれましては、いまやすっかり「あ、これは何かのエピソードが展開する前フリだろうなー」みたいに、一日単位ではなく日記と日記をつないだ「つなぎ」「まとまり」の単位で読むことで得られる物語の空気を肌で感じられるようになっておいでだと存じます。
「物語」という言葉の定義は難しいですが、たとえば「無限にある世界の状況の中からある視点で切り抜られたある一定範囲の出来事が、筋道をつけたひとまとまりの報告として表現される(その結果、心理的なダイナミズムを生じせしめる)もの」──としてみると、すでにBabyPrincessには立派に「物語がある」んですよね。
てなわけで、その「物語」が具体的なエピソードとしてはどんなものだったかおさらいするべく、公式ブログでひとつの状況が複数の日にまたがって展開されたものをまとめてみました。(2008年5月29日現在まで)
(早見表)
■大エピソード
・どら焼き事件編 【1月29日〜2月1日】
・バレンタイン編 【2月13日〜15日(+21日)】
・ひな祭り編 【2月18日、27日、29日、3月3日】
・吹雪倒れる編 【3月5日〜10日】
・フレディ失踪事件編 【4月1日〜4日】
・ゴールデンウィーク編 【4月23日〜5月3日+9日】
・ヒカルと制服交換編 【5月21日〜26日】
■長期スパン展開
・男ギライの麗の日記編(決着?)
・氷柱×綿雪の姉妹愛編(たぶんずっと進行中)
(大小エピソード全解説)
【2008年1月15日と16日】
・麗、そっけない日記を怒られて翌日に書き直す。以後このように2日間にまたがって前フリ→オチという形をつけるパターンが定着していく。
【1月18日と21日】
・寝入ったヒカルの代理で立夏が日記を担当し、次の更新でヒカルがそのことを主人公にわびる。
【1月29日〜2月1日】
・どら焼き事件編。
・消えたおやつの行方は? 4日間できれいに起・承・転・結になっており、姉妹日記初の長編的なエピソードとして特筆される内容。身近な題材(おやつ)から始まったのを姉妹の深い絆でしめくくるエピローグが見事。
【2月6日〜8日】
・青空がシールをもっていたのが、麗がやったものだと語られる。
・前月に続いてまたもや麗のそっけない日記が怒られて書き直し。このように、いったんオチがついたと思われたネタが潜伏して、後で表に出てくるパターンも定着していく。
・麗の態度にかんするネタはここで再び潜伏し、さらに後へつながる。目先の展開の底に長いスパンで潜在情報が流れていくという多層構造は、べびプリだけでなくどんなメディアでも、連続的に展開されるドラマ全般を理解し楽しむうえで重要なポイント。
【2月13日〜15日(+21日)】
・バレンタイン編。
・14日は怒涛の日中連続更新。そのため、3日間にまたがるドラマでありつつ、同時に14日単体の内部でも起点(おはよう)から収束(おやすみ)までの長大なまとまりを備えており、一種の入れ子構造になっている。
・さらに14日のラストが21日のオチに引っぱられる潜伏構成がおまけについている。
・また、ここで氷柱のチョコに関しての情報が潜伏して、翌月のホワイトデーで表出することになる。それも合わせてひとまとまりにみてもいいだろう
【2月22日と25日】
・氷柱が主人公に日記を代筆させるも、氷柱のフリして恥ずかしいことを書かれてしまう。
【2月18日、27日、29日、3月3日】および【2月26日、28日、29日】
・ひな祭り編。
・起点で「何かしているけどまだ内緒」とじらす手法
・ひな祭りの準備期間中、同時進行で26日・28日に「幼児グループが風邪を引く」という小エピソードが挟まれており、これを29日に「でも無事に治ったのでひな祭りは行われます」と安心させるプロセスを経てひな祭りエピソードの一部として統合している。ひじょうにテクニカルなストーリーテリングだ。
【3月5日〜10日】
・吹雪倒れる編。
・事件が起き、解決しつつも「謎を残す」という手法になっている。
【3月11日と12日】
・あさひに食べられちゃった(笑)主人公と、次更新でそれに言及する立夏。
【3月14日と17日】
・ホワイトデーで主人公に対して素直でない態度をとった氷柱が反省するまで。3/14が一日2回更新によって時間を縦断したエピソード性を得ている。
【3月17日と18日】
・麗の態度がらみの問題が再び立ち上がる。
・直前のホワイトデー話とのつながりに注目。ひとつのエピソードのオチが同時に次のエピソードの起点になるという、オーバーラップ方式になっている。
【3月25〜28日】
・桜咲く季節に、感傷的なセリフを述べるヒカル、小雨、霙。
・その中でヒカルのみ、2日間をまたぐ幅をとっている(25、26日)。
【4月1日〜4日】
・フレディ失踪事件編。
・べびプリファンの間で物議をかもし続ける謎のピンク象フレディについてますます謎が深まる迷エピソード。しかし主眼はあくまで姉妹と主人公の絆の発展にあり、いまのところフレディはマクガフィン的なものだと思っておきましょうか。
・4日のラストが次の展開の前フリになっている。
【4月10日と11日】
・新学期にそれぞれ心躍らせる姉妹たちのなかで、夕凪が氷柱を怒らせてしまう顛末。
・新学期を話題の軸にする流れは7日の春風から始まっているので、そこを起点とみてもいいだろう
【4月15日と16日】
・麗がようやく初手からまともな日記を書き、翌日に海晴がそれを評価。
・ここまでに反復してきた文脈を背負っているので、これを非常に長いスパンで展開された「男ギライの麗の日記」編のまとめとして見ることができる。
【4月23日〜5月3日+9日】
・ゴールデンウィーク編
・24日と25日の2段式で、麗が主人公に頼みごとをした顛末が描かれる。
・同時期に出た電撃G'smagazineの誌上連載とのリンクで、旅行中の出来事は雑誌を読んで把握するように、プロローグとエピローグにあたるところだけを見せる形になっている。
【4月23日、5月3日、7日】
・主人公のために鯉のぼりを姉妹が自作する。
【5月19日と20日】
・熱を出した綿雪に代わり、氷柱が日記を担当。
・この2日間だけで閉じる話ではなく、とても長いスパンで折にふれてつむがれる大きな「氷柱と綿雪の姉妹愛」編の一端としてみることができる。その場合、起点は1月8日となる。
【5月21〜26日】
・ヒカルと制服交換編。
・立夏でシチュを起こしてヒカルで収拾。どらやき事件編は起点のヒロインが最後にまた収束させる役を果たしてたが、今回は前座とメインを分ける方式をとっている。
・主人公について「女装に違和感がないような容姿をしている」という情報が明示される重要なエピソード(笑)
こうして振り返ってみると、そろそろ1クールアニメくらいにはできそうなエピソードのストックがありますなあ。
上でも書いてますが、物語としてとくに大事なポイントは「いったん潜伏しておいて、しばらく時間が経ってから回収される情報の流れ」をもつ多層構造をなしているところですね。
ときには"それ"がすごく長い期間を飛ばして出てくるので、我々は全体の内容をおおづかみに覚えておきながら、同時に目の前の一日一日の記述をも吟味していき、全体と部分のいきいきした流動を楽しむことになります。
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一つのことがらを人物を変えて、時間と視点を変えて描いていくことによって、
続けて読んでいくと、全体的な構図が見えてきて、それがオチだったり前フリだったり。
途中ですごい幼い子供視点まで混ぜなきゃ駄目なのに、それでも話のポイントを抑えて、しっかりと起承転結、読み物としても十分に面白い。
あの日記は本当によく出来ていると思います。
前の記事の「同じ作品の同じ情報を目にしてもケータイと本では体験の性質が異なる」
みたいな感じで、これを書籍にするなら特に変更点は無くてもいいのでしょうけど、1クールのアニメにするとどうなるのでしょうか。
一人の視点で描かれる凄く短いエピソードが一話の中に沢山入るのか、それとも視聴者の視点での出来事として物語り全体を眺めていくのか。
ああ、見たいです!うららー!
>一人の視点で描かれる凄く短いエピソードが一話の中に沢山入るのか、それとも視聴者の視点での出来事として物語り全体を眺めていくのか。
そこはとても関心がありますね。
人数が人数なのでスタッフも苦労しそう(笑)
シスプリのときは第2期の方式がおもしろくて、毎週Aパートで大きな連続ストーリーものをやり、Bパートではキャラ個別のオムニバスドラマをやるというセット方式で、大きな視点とミクロな視点をくっきり分けてたんですよね。
べびプリはどうなるかなー