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銀河ツンデレ伝説
初の長編小説。イラストは上連雀三平先生!
二見書房 630円
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    2007年06月28日

    予言としてのセリフ 〜かなう言葉、裏切られる言葉〜

    [ note ]

     一定の時系進行をもつストーリー作品にあっては、登場人物が前半で口にするセリフを後の状況への<予言>にするテクニックがよく使われる。


     例を挙げよう。
     たとえば、あるラブコメの序盤で、好きな女子に告白もできない奥手で純朴な主人公が

    「女に免疫つけんとなー」

    と独り言をつぶやいたときにいきなり宇宙から美少女が舞い降りてきた場合、そのヒロインがどんな役割を果たすかはそのセリフに予言されている。
     もちろん、じつは好きな女子のほうが免疫役で、押しかけ女房のほうが真ヒロインになるという展開もあるが、どっちにしても主人公がこれから何らかの経緯で「女に免疫がつく」という状況の叶うことが、作品レベルの指針としてそこに暗示されているわけである。


     また、逆に、たとえば序盤でいがみあっている主人公とヒロインがいて、どちらか(もしくは双方)が

    「断言してもいいが、どんなことがあっても我々はケンカしつづけるだろう」

    などときっぱり言いきった場合には、そのセリフはあえて裏切られるためのことばとして描かれていることになる。
     当然、彼らはのちに想いを通じて恋仲になるのであり、この「絶対にないから!」という前フリには、かえって「ああ、こんなこと言ってるけど、こいつら付き合っちゃうんだろうなーワクワク」と期待感を高めさせておく、逆説的な予言効果が込められているのだ。
     このさい、この裏切られるための言葉というのは、本人が本気で言っていればいるほど後との落差が出て面白くなる。


     ここで<予言>というフレーズで説明したのは、これらがキャラクターが積極的に目的化した言葉ではなくて、作者がキャラクターを通して作品の先行きをメタ的に暗示するためもたらした一種の御神託だからであり、「キャラの思考」が「作品の流れ」に上位互換されたセリフとして受け取ることが出来るからだ。

     <予言>のセリフは時として、とてもさりげない形でちりばめられている。それは当事者が口にするケースのみならず、まったく脇にいるサブキャラクターが当事者についてぽろっと漏らす言葉に仕込まれていることもある。
     往々にして、我々は実現したあとでそれが<予言>であったことを気づかされることが多いが、注意して見ておけばなんとなくそのセリフを強調したがっている演出の味というものがあって、ごくさりげない<予言>の読み取りには、その時点で作者がどこまで情報を与えたがっているかというコントロールと、消費者側でどこまで情報を掘り起こせるかというアンテナの感度とのせめぎあいが起こることになる。

     もちろん、この手の<予言>というのは何も気づかなくても楽しめるようになってはいるが、気づけば気づいたで、先の展開に対する高揚感、また、作品が完結したときには長期的な構成レベルでの評価といったものを趣として嗜めるので、この点をいちど意識しながらみてみると面白いかもしれない。

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