先日、政治家の鶴見祐輔という人が著した「英雄待望論」という古本を買いました。初版は昭和3年(1928)ですから、およそ80年ほど前のものですね。
刊行は大日本雄弁会講談社。そう、いまでは講談社としておなじみの出版社の前身であります。
で、そもそもどうして「講談」社というのか。
本の巻末に当時出版されていた書籍の広告が入ってまして、そこに由来を見ることができます。
コピーがものすごい教養主義であおりまくってます。ゲップが出そう(笑)
「上品で愉快!為になる!」
「誰にでも読める万人向きの面白い面白い全集
読んで必ず為になり、面白い点に於(おい)て真に天下一品」
「古来百千万の我等が祖先を慰撫し、激励してきた「講談」は新しき姿となって現れた。
面白い中(うち)に心を清め、剛健の気魄(きはく)を養い、忠烈義烈を教え、正しき人道に導く!
これこそ子々孫々に伝えて喜ばれる大全集!」
「面白い面白い笑いの中(うち)に大教訓」
「見よ日本男児の意気!武士道の花!」
「面白いこと天下無比!」
「三四円の値打ちは十分にある、それが僅(わず)か一円!
隅から隅まで面白い!!一読誰でも痛快愉快感動感激!」
「既に既に注文山のごとし!
能力以上の部数に達すれば遺憾ながら期日前に〆切ることあるべし、早く早く!」
んでもって、画像をごらんの通り、講談本の出版を重要な事業として展開していたんですね。だから講談社。
講談は、歴史的な出来事をあつかった読み物を読み上げる話芸です。江戸時代、豪傑の活躍や太平記などの軍記物に注釈や誇張・脚色を加えつつおもしろく人々に語ってみせる「講釈」という演芸がありまして、それが明治時代に「講談」と呼ばれるようになり、さらにそれを文章で記録してまとめたのが講談本というものです。娯楽と基礎教養の一致した読み物として大衆に親しまれました。レーベルでは立川文庫が有名ですね。
モチーフになったのは以下のような人物たち。
いまでも有名な人物から、馴染みが薄くなっている人物までいろいろありますね〜。
歴史を通してさまざまなヒーローの名前を大衆に親しませる講談本を出した講談社。
その講談社がいま大ヒットさせているのが、宮本武蔵の活躍を描く漫画「バガボンド」です。
武蔵はかつて講談の主人公として親しまれていた存在であり、それがやがて吉川英治が小説の題材として取り上げ、それがいま井上雄彦の漫画になり……と時代に合わせて媒体を変えながらずっと大衆に人気を博しているわけです。
何かひとつの大きな流れを感じさせて面白いと思います。
余談ですが、講談社の少年マガジンで実録系の読みきり等がよく企画されることにも、こういう豪傑・英雄・偉人の生き様を伝える「講談」の流れをつなげてみると分かりやすいかもしれません。
「仮面ライダーを作った男たち」は実在の人物を描いたドラマの脚色としては熱量過剰でしたが、むしろ講談という視点からみればそれでこそ良し! という感じですよね(笑)
[参考]
・講談本について
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