以下、織田正吉『ジョークとトリック』より。
ジョークを含めて、説話Aが説話Bに似ているばあい、相互の影響を想定するのは当然のことだが、似ていることからただちにAからBへの伝播(たとえば海外から日本へ)を結論づける前に、すくなくともつぎの四通りの可能性について検証しなければならない。
1 AからBへの伝播
2 BからAへの伝播
3 CからA、CからBへの伝播
4 A、Bそれぞれ独立の発生(偶然の一致)
AからBへの伝播をいうばあいは、説話の発生がBよりAのほうが古いことを実証する必要がある。でなければ伝播の方向は結論づけられない。ABどちらかの説話が古いかという論証はきわめて困難なことであろう。しかし、困難だからそれを省略して方向を決めてしまってよいということにはならない。
あと「AからC経由でB」「BからC経由でA」がありますね。
これは説話の検証にかぎらず、アニメでも漫画でもゲームでも映画でも小説でも音楽でも絵画でも、複数の作品にまたがった語りをおこなう者全般の大事な留意点ですよね。あたりまえのことだけに、ついつい失念しがちな。
とりわけ趣味の範囲で系統立てずにモノを乱集してる僕のような人種は、うっかりすると実際の影響関係の有無も方向も確認せずひじょーに安易に「●●は○○の影響を受けている」と決めつけがちなので、耳が痛い限りです。
【関連(笑)】
月姫ネタスレinラ板&ガ板 まとめページ
月姫とハガレンのはもはや完全にネタや笑い話だけど、映画や小説でそれと同じレベルの勘違いをして恥ずかしい思いをした経験は多々あります。思い出すと胃が痛い。
![]()
ジョークとトリック―頭を柔かくする発想
織田正吉 / 講談社現代新書 706
756円(税込)