オムニバス [omnibus]
(1)映画・演劇・ドラマなどで、数編の独立した話を並べて一つの作品に構成したもの。
(2)乗り合い馬車。乗り合い自動車。バス。
唐突に、DOSゲー時代に好きだった「Yes!HG」(姫屋ソフト)のことが脳裏をよぎりました。原画・シナリオがそれぞれ異なる7つか8つの独立した短編を詰め合わせたADV作品で、SF、ファンタジー、現代劇などなど、とりとめもなく多彩なコンテンツで面白かったです。
僕が好きだったのはウェスタンが舞台のお話。有名な早撃ちガンマンと同じ名前だったせいで人違いされて悪党退治する羽目になった早漏(早射ち)ガンマンの冒険譚、だったかな。あと埋蔵金を巡って悪と闘う現代忍者娘と一般人青年のお話も良かった。
そうそう、たしかクトゥルー神話をネタに仕込んだエピソードがあったよね……"エロゲでクトゥルー"はあれが最古に近いんじゃないかしらん。
あー、ああいうオムニバス形式のエロゲをまたやってみたいなあ(けっこう切実に)。
この他、僕が知ってる範囲では、Windows95時代に「69 sixty nine」というゲームがあって、ありとあらゆるジャンルでクライマックスシーンから始まるお話ばかり69個も詰め込んでたのが凄い作品でした。たしかメイビーソフトの前身が出してた……んだっけ? でもあれはさすがに量に頼りすぎて一つのお話あたりの作り込みが荒かった覚えがある(^^;;
あとはPC-98時代、ミンクの「Gokko」や「ツーショットDiary」シリーズを楽しんだ記憶があります。いまでも中古屋さんにいけばけっこう現物が置いてるよね。
レトロなところでは「ピーチアップ」「ピンクソックス」シリーズなどのディスクマガジン系がありましたね(オムニバスとはちょっと違うかもですが)。このへんは、僕はまだ当時パソコンを持ってないガキんちょだったんで、ゲーム情報誌の美少女ゲームコーナーをながめてハァハァしてただけですが(笑)
おっと、オムニバスで絶対に忘れちゃいけないのはソニアの「VIPER」シリーズ。時代を超えてよく頑張った!(笑) 剣道娘の出るV-10が良かったね。
で、ひるがえって現在を見てみると、大作志向の長々編、平均量の長編、DL販売の小品という3形態が主。オムニバス形式はせいぜいファンディスクで見られるくらいですね。それも元作品の番外編だから劇中世界は統一されてるし。
同人シーンがどうなのかよく知らないけど、あの界隈もメジャー化した有名どころは長編ばかりだし、オムニバスは需要なさそう。残念。
結局、いくつもの世界をこしらえて一本にパッケージするくらいなら、一編ずつ廉価で小売りにしていった方がコストパフォーマンスがいい(作り手にとっても消費者にとっても)という事になるのかなあ。いちおう、それとは逆で、"既出の作品群を同梱してオムニバス的に再販売する"という例 *1 はありますが、でもそれはオムニバスとは違うよね。アリスソフトの「20世紀アリス」は……あれもお話というよりソフト自体が独立した詰め合わせだったからなあ。
……と書きながら、オムニバスで娯楽を得るということは、突き詰めるとキャラ(と、キャラが生きる日常)のディテールを削ぎ落として、ストーリー(のシチュ、プロット、アイディアのレベル)にマトを絞って味わおうということだから、そりゃあキャラの掘り下げとアピールが重要課題になった現在のエロゲじゃ大して需要が生じないわな、と思い至りました。とほほ。むかしはアニメーションや演出の実験に短編が有効だった時期もあったけど、もうそんなご時世でもないからねぇ……。
いま廉価の短編がいわゆる抜きゲーで占められてるのも、エロの強度に特化すればいいという割り切りのためだし。
[まとめ]
エロゲの神さまがキャラの細部に宿る時代に、オムニバスは確立しにくい形式である。残念無念。