8日、ロフトでのイベントでは定例の研究発表モドキと、この児童小説を披露致しました。「世界最古のツンデレノベル?」というエントリをみたのがきっかけ。
2002年ごろといわれる「ツンデレ」という語の発生のはるか昔'80年代に存在したこのタイトル、某氏いわくオーパーツのようだと!(笑)
ちなみにこれは近所の市立図書館で書庫にあった一冊を借り出してきたものです。今では絶版で入手困難、かなりのレア物であるため、ネット上ではほとんど関連記述を見かけません。
せっかくなのでここに内容を詳述しておくことにします。
「ツンデレラゆうかい事件」 創作こどもクラブ(22)
著者:浅川じゅん
挿絵:小泉るみ子
発行:偕成社、1988年12月 (絶版)
[概要]![]()
主人公チビ子
*1
が親友デカ子
*2
と一緒に、転校生の美少女が誘拐された事件の犯人を当てる推理ドラマ。転校生は製菓メーカーのテレビCMでシンデレラ役をやっているので「シンデレラ」とクラスメートに通称されるが、態度がツンツンと取り澄まして鼻持ちならないところからチビ子は「ツンデレラ」とあだ名を付ける。また、デカ子が片仮名の「シ」と「ツ」を書き間違える癖があって、それが事件の謎を解く重要なファクターになっている
*3
。
ミスリードで怪しい中学生男子やサラ金の取り立て屋が登場するが、真犯人は[ネタバレにつき反転]チビ子たちがよく遊んでいる公園で仲良しになっていたおじさん。繁盛しないクリーニング店の店長(妻子あり)で、お金に困窮しての犯行だった。「おじさん、どうしてゆうかいなんかしたのよ!」「金にこまったからさ。だからってゆうかいに手をだすようじゃ、おじさんはばかだな。」というダイアローグが泣ける。[反転おわり]
犯人の造形もですが、チビ子の家庭では父親が女を作って蒸発していて母が懸命に内職してたり、ツンデレラが自分をお金持ちの孫であるかのように虚言して実はまったく裕福ではなかったりと、全体のコメディタッチの中にも非常に世知辛くシビアな色がにじんでいます。
ちなみに最後はツンデレラが誘拐事件に見舞われた子役女優として世間で有名になったおかげで、本当にシンデレラ的成功を得るというまとめ。巧い。
まあ、サブタイトルをざっと見て分かる通りあくまでシンデレラからの逆算的ダジャレであって、「ツンツン/デレデレ」とは何の関係もありません。劇中、ツンデレラこと青木典子はチビ子の推理のお陰で誘拐事件から助けられても感謝の一言をいうシーンすらなく、あっさり学校から去っていきます。つまり「デレ期」がないわけですな。惜しい!(笑)
ちなみにこの本が出ている「創作こどもクラブ」シリーズはタイトルでそそられるものが結構ありまして、個人的には第21弾『しっぱいロボットももこさん』がとても気になります。もしやドジっ子ロボ娘か!?