ハーレム系作品は実はハーレムではない、ということについて。
これは舞台の異世界・現実世界の区別なく、全般的な話です。
昨日のエントリでは分かりやすい端的な表現として「ハーレム」という語を使ったのですが、実のところ、本来の意味での多数の愛人を股がけするハーレムの構図というのは、すくなくとも全年齢メディアにおいてはほとんど存在していないことをここで補足しておきます。
たとえば現在の男性向けハーレム「的」作品の基礎を築いた2大タイトルを例に取ってみると、
「天地無用!」……
恋愛感情がらみは主人公を標的にした本命ヒロイン;対抗ヒロインの対立のみ。
他の女性キャラは姉妹的ポジションや単なる居候など、場をにぎやかす為の肉付け。
「ああっ女神さまっ」……
主人公−本命ヒロインの1対1関係が盤石の基軸。
他の女性キャラはその関係に対する支援、友好、試練、障害、その他にぎやかしのために機能する。
という具合で、あくまで基本は「核となるカップリングに肉付けの余剰キャラがぶら下がっている」構造であって、じつは一般的なラブコメ・ラブロマンスと何ら変わるところはないと言えます。ただ唯一、劇中の性別人口比率が極端化(主人公ひとり対たくさんの異性)されているのが特殊なのです。しかしそれは数の問題であって、描かれる男女の関係性に変なところはありません。むしろベタベタ(^^;
ですから、昨日例に挙げたアニメ・漫画は、厳密には特化型の恋愛ストーリーであって、「ハーレムもの」というのは表層的な呼び方でしかない点に注意しましょう。
なんで実質的なハーレム作品が無いのかというと、理由はまあ単純で、全年齢対象である商品では一般社会通念からみて完全な背徳にあたる図を肯定的に扱うのは難しいという暗黙の縛りがあるからです。否定的に、つまり浮気の罪悪感をともなわせて背徳的な色彩を帯びさせるケースはあるんですが、それはまた別種類の流れになります。
したがって必然、一人の主人公が複数の異性を本当に喰ってそれが肯定的に容認される真の「ハーレム」作品というのは18禁市場のほうが多いんですよねー(^^;
(一般恋愛ゲームは1対1関係への帰着が基本であるのに対し、モラル破壊性の高いエロゲーではハーレム的展開が珍しくない)
ちなみに、上では「ハーレム系」としてはやや古典の観がある2作品を挙げましたが、ここで述べていることは現在の巷にあるタイトルにも変わらず当てはまります。「藍より青し」は女神さま型ね。
追記:
こういうことを考えていると、ますます「シスタープリンセス」アニメ版の異常性が際だってきますな。
いや、もともとハーレム系という文脈だけで把握しきれる作品ではないのですが(^^;
こちらでははじめまして。いつもお世話になってます。
今回言及されてるハーレムものっていうのはむしろ「後宮もの」と言い換えれば意味が通じるんじゃないかなと思いました。正妃(メインヒロイン)がいて側室(サブヒロイン)が複数居るという。
ラブロマンス的な欲求はメインヒロインに向けられて、その他の欲望(セックスに限らず、お色気やほのぼのとか妹欲しいとか)を周囲で満たす、というシステムは説明できるんじゃないでしょうか。
ストレートな恋愛(婚姻的シナリオ)でなくとも、サブヒロインが異性的に接することはできるわけで、そういう視点で言えば「女神さま」以下の作品もハーレムと呼べる気もします。そもそも「お妾さん」って、「正妻」じゃできないことをしてくれる相手ですしね。
いや、面白そうな話題だったので、長文失礼しました。
コメントありがとうございます。
正妃・側室<この解釈は気づきませんでした。正・副で機能を分配して全体でハーレム(後宮)を形成しているというとらえ方ですね。なるほどそう考えると、格付けがあることによってむしろハーレム(後宮)的構造になっているとも言えるなぁ。あと、本命ヒロインへのサブヒロインの嫉妬とか、いかにも大奥ものっぽい(笑)
僕はサブヒロインが物語の最終着地点で本命に勝てない=エンディングは1対1恋愛に落ち着くいう点から今回のエントリの内容を書いてみたんですが、また別の視点もあるのですね。おもしろい。
でもみやもさんの言う、ハーレム系の作品はむしろ一対一のラブロマンスである、っていう意見の方が、新鮮で面白いですね。
ヒロイン群を後宮になぞらえる視点の方が、世間では一般的な解釈だと思いますから。
僕はその一般的な解釈の方に気づかず、ご指摘を受けて深く感心いたしましたです(^^;
Posted by: みやも: 2004年05月01日 00:28