「ジョジョの奇妙な冒険」かと思ったら「仮面ライダー龍騎」でした。
(主人公と親友の意見対立の論旨を見るに)
[概要]
自我(エゴ)を具象化したエネルギー体を使って他人の精神に干渉できる超能力に目覚めた若者が、同じ能力者たちの勢力抗争に巻き込まれながら自分の進むべき道を見定めていくサイキック青春ファンタジー。
[「雫」との比較]
現実感の境界でたたらを踏んでいた若者が、どこか浮世離れした少女に導かれて扉の向こう(非日常)側に足を踏み込み、怪異な体験から逆照射して自己のアイデンティティーを再構築するドラマ……という筋から見ると、「リアライズ」は高橋・水無月コンビが「雫」の地平に舞い戻った物語といえるかもしれません。
ただし、電波というシンプルなギミックひとつでごく限られた人数が動くだけだった「雫」に対して、今度はギミックのディテールをより精細にし、関係者の数にも行動範囲にも拡がりを持たせた三人称ベースの群像劇になっているのが大きな違いです。
そのため、「リアライズ」の物語は「雫」に社会的な色を加えた様相を呈しています。長瀬祐介は電波という超常の力を獲得する自分それ自体に翻弄されましたが、松浦亮はその次の段階、手に入れた力を周囲(世間一般まで含めて)との関わり合いのなかでどうやって運用するのが適切かを思い悩むことろに立たされるのです。(その都合上、亮は常に良心的で思慮深いキャラクターとして設定されている)
また、「雫」の月島瑠璃子さんの最終的な目的は特定人物へのアクセスに向かうものでしたが、今回のストーリーの核である八重の目的はベクトルが逆になっていますね。ネタバレになるのであまり詳しくは言えませんけど。
ほとんど同じ菩薩的なメンタリティを付与されたキャラでありながら、機能対象が限定/非限定と裏表になっている瑠璃子さん/八重の相違はなかなか興味深いです。
[正直な感想]
うあーっ、これはあまりにもったいない。
個々のファクター……世界観・人物造形・その他諸々の素材は非常においしいんです。
また、シナリオの隅々にまで一貫した思想が流れているのも素晴らしいんです。こんなにも人間の優しさについて力を注いだ文章は滅多にないと、素直に感銘を受けました。
けれどもそれだけに、尻を切り詰めすぎて「投げ出され」感が拭えないのが酷く痛い!
ヒロインやサブキャラ周りのエピソードのほとんどが設定のさわりだけほのめかして後は放置されっぱなしなので、トゥルーエンド含めてどのルートをどれだけ攻略しても消化不良感がまとわりついてしまいます。倫ちゃん、精神科医のセンセイ、蕎麦屋の娘、関西圏の能力者たち……明らかに泣く泣く活躍の場を省略されたような節が至る所で見受けられてもどかしいです。
たぶん人手、時間、お金のどれかが不足していたんだろうとは思いますが、ブランド初作としてはこりゃちと厳しいかも。
完全版とかファンディスクで補完とか……は、やらないかなぁ。
追記:
ちなみにこのゲーム、主人公が顔を出す場面では男性キャラとの会話の方が多かったりします。
女性受けしそうな「男同士の交流」シチュエーションてんこ盛り、というのもプレイしていて複雑な心境を生む一因なんですにゃー(^^;