衝動買いによる散財の結果。
「職業・殺し屋。」第1巻
「アグネス仮面」第4巻
「おぼろ探偵帖」
「ああっ女神さまっ」第27巻
「クレイモア」第1〜5巻
以下はそれぞれの感想です。
いや、驚いた驚いた。
僕が最後に西川センセの作品を読んだのは「まみやこまし」名義でフランス書院から出た単行本を買ったとき以来だったもんだから、現状を知ってビックリしました。よもやセンセがこんな領域に行き着いていたとは。
もともとバイオレンスの絵面に関しては、かつて少年ガンガンで連載していた『Z-MAN』や『アークザラット2 炎のエルク』でも要所要所で突き抜けていた感じだったんです。しかし掲載誌の路線というか制限から踏みとどまざるをえないラインがあって、いささか勿体ない気がしていました。
で、それがこのたび青年誌という場によってリミッターが外れ、さらにセックス表現も可能になったことで「西川秀明のマンガ」と「まみやこましのエロマンガ」の双方で蓄えてきた全火力の投入が許され、この『職業・殺し屋。』という形で見事に結実している次第なのです。
物語はいわゆる仕事人もので、非常に純化されたファンタジーとしての「殺し屋」を描いたストーリー。ほぼ1話完結の連作形式です。
題名や表紙の体裁なんかを見るともろに『殺し屋1』ですし、主人公のキャラ立てや蜘蛛という象徴を使っている点で『ハンター・ハンター』を連想させるなど、あれこれネタ元は透けて見えるのですが、そのもろもろが西川センセの語り口に取り込まれると完全に「西川秀明マンガ」以外の何物でもなくなっているのが面白いところですね。
あまり長期に渡るタイプのマンガではないと思いますが、西川センセの作品履歴においては非常に重要な意味を持つタイトルになると思います。
追記:
全体的なエピソードの組み立ては『闇の司法官ジャッジ』あたりに近いかも。
『アグネス仮面』(4)
作者:ヒラマツ・ミノル
発行:小学館
掲載:ビッグコミックスピリッツ
仁吾の大和時代の先輩が企み含みで帝日に緊急参戦してくるお話。尾崎の人間性を描くシーンが多いため、4巻全体ではテンションは控えめになっています。
しかし看板を取り戻すという主人公の目的がある以上、「プロレスもの」だけでなく「プロレス団体もの」としてのからみは不可避なわけで、こういう抑えたストーリーテリングもプロセスとして必要なのでしょうね。
それにしても今回認識したのは、マチルダ仮面の「無駄な必要性」(^^;
この男、物語の筋道に対してははっきり言っていてもいなくてもいいキャラなんですけど、もしいなかったら『アグネス仮面』のコメディのエンジンは主人公・山本仁吾が状況に振り回されるその姿だけになって単調に堕していた恐れがあります。
例えば本巻終盤の尾崎・吉井とのタッグ戦に際して、試合前にベルトを与えられるのが仁吾でもお話としては間違っていないんですが、ここであえてシチュエーションをかきまわす徹底的なボケとしてのマチルダ仮面を使うことで、マーベラス虎嶋のたちの悪さを含めて冗談の度合いが飛躍的にアップしているように思うのです。
ようするに「マチルダ、お前おいしすぎ」ってことなんですが(^^;
『おぼろ探偵帖』
作者:山田章博
発行:日本エディターズ
備考:山田章博全集1(本編3話+1話、そのほか書き下ろし文章収録)
ちょうど折良く『紅色魔術探偵団』から続いての入手となりました。どちらも人外の青年・あこぎな老爺・マイペースな少女というトリオによって軽妙洒脱な怪異譚を繰り広げるお話で、時代・舞台を変えた焼き直しといってもいいような共通構造をもっております。(作者自身の記では別物と考えているらしいけれど)
本作『おぼろ探偵帖』のほうは明治の東京を舞台とした妖怪・幽霊がらみの人情噺が主になっており、作者の雑記を読んでいると、この時代の文化的カオス性というのは一種独特の物語素材をやまほど産出したのだなぁと感じさせられました。
ああ、なんだか新東宝の怪談映画を観たくなってきた(笑)
『ああっ女神さまっ』(27)
作者:藤島康介
発行:講談社
掲載:アフタヌーン
最近は『ああっ女神さまっ』の新刊を手にする頃にはもう前巻がどんな話だったのか忘れてしまっており、思わずバックナンバーを読み返さなきゃいけなくなってます。この風化速度の高さは俺の拙い記憶力のせいだけではないと思うぞ。
『CLAYMORE クレイモア』(1〜5)
作者:八木教広
発行:集英社
掲載:月刊少年ジャンプ
ものすごく直球勝負なヒロイックファンタジーの本作『クレイモア』は、とっかかりで女性版『ベルセルク』かと思わせといて、だんだんと妖魔狩りたち自身の内ゲバ話へ軸をズラしていくのが面白いです。作者初の完全シリアスということもあり、かなり手探りで物語を進めている様子が伝わります。この点、最初からネタ(シチュエーション)固定で攻めていた『エンジェル伝説』とは対照的。
作品として本当に熱が入ってくるのは3巻のテレサ編からですので、現時点で評価する場合は少なくともそこまで読み進めてみる必要があるのではないでしょうか。
あと、『エンジェル伝説』といえば、『クレイモア』の主人公クレアとお供の少年ラキがそのまま白瀧幾乃とハルフォード少年の流用なので、そのあたり作者が前作で何をやり残したと思っていたかが見えて面白いと思います。